2022年12月21日 13:00 〜 14:00 10階ホール
「日本の安全保障を問う」(7) 玄葉光一郎元外相(立憲民主党)

会見メモ

立憲民主党は12月20日、「外交・安全保障戦略の方向性」についての方針をまとめ公表した。

とりまとめを主導した「ネクスト外務・安保相」の玄葉光一郎元外相が登壇し、方針の概要、政府案に対する考え方などについて話した。

 

司会 佐藤千矢子 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)


会見リポート

反撃能力「賛同できない」

足立 直紀 (テレビ朝日編集担当部長)

 立憲民主党の「ネクスト外務・安全保障大臣」として、前日にまとめた「外交・安全保障戦略の方向性」の説明が会見のメインだった。

 「外交・安全保障戦略の方向性」では、長射程化のミサイル保有は容認しながらも、「反撃能力」については「賛同できない」と記した。

 玄葉氏自身は、打撃力の保有は必要だという持論だそうだが、立憲民主党内の半分が「反撃能力」に反対で、党内議論の取りまとめには4回の協議を要し、玉虫色の決着に落ち着いた。

 玄葉氏は、党内の反対勢力に対し、「安全保障は最悪の事態に備えるのが基本だ」と説き伏せたという。民主党政権時に原発事故という最悪の事態を経験しながら、いまだに政策ひとつをとっても方向性の定まらない立憲民主党には、ふたたび政権を担うべき時が来るのだろうか。相変わらずの決められなさに愕然とした。

 それでも玄葉氏は、安保法制に反対した当時の民進党を引き合いに出しながら、「今回は後ろ向きでなくて、ニュートラル、あるいはやや前向きな方向でまとめられた」と評した。「これから責任政党になっていくための一歩、進歩だ」とも語った。

 年明けの通常国会で、立憲民主党がどのような対応をとるのか、注目である。

 一方、政府も政府で、安保政策の大転換を行うにもかかわらず、なぜ「反撃能力」が必要なのか、どのような要件が揃えば「反撃」ができるのか、そもそも実際に「反撃」は可能なのか、などといった詳細を全く国民に説明できていない。

 予算ありきで、復興財源を詭弁で悪用してまで財源を捻出しようと考えているが、果たしてそんなことがまかり通ってよいものなのか。

 年明けの通常国会では、立憲民主党をはじめとする各党と政府が、建設的な議論を戦わせてくれることを期待したい。


ゲスト / Guest

  • 玄葉光一郎

    元外相、衆議院議員(立憲民主党)

研究テーマ:日本の安全保障を問う

研究会回数:7

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