2022年12月19日 16:00 〜 17:00 10階ホール
「かかりつけ医を考える」(6) 河本滋史・健康保険組合連合会専務理事

会見メモ

健康保険組合連合会(健保連)は11月8日、「かかりつけ医」の制度・環境整備に関する提言を公表した。

河本滋史専務理事が登壇し、提言の背景や内容についてあらためて説明するとともに、今後の課題などについて話した。

 

司会 猪熊律子 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)

 

「『かかりつけ医』の制度・環境の整備について〈議論の整理〉」


会見リポート

「医師1人任意登録」の背景

大林 尚 (日本経済新聞社編集委員)

 全国1387の企業健保組合で組織する健保連は「物わかりのよい」団体にみえていた。

 効果・効率・安全性が高い医療サービスの提供を医師に迫り、同時に医療費の膨張を抑える使命を負ってきたが、医療費の抑制策によい顔をしない医師側の主張に土壇場で押し切られる。厚生労働省の審議会ではしばしば、そういう場面があった。

 だが記者会見の冒頭で河本氏が触れたように、多くの健保組合にとって「保険料率を引き上げる余地はもうほとんどない。赤字を出せば即、組合の解散につながりかねない」状況に追い込まれたことが「行動する団体」への変容を促しつつある。

 本クラブの「かかりつけ医を考える」シリーズで、国民と患者側の視点に立って考え方を披露するのは河本氏が初めてだ。その要諦は①国民と患者がかかりつけ医を探す際に役立つよう「一定の機能を担保する証明」が必要になる②国民と患者はかかりつけ医を1人、任意で登録する③登録医以外での受診は妨げないが、かかりつけ医は看護・介護などとの連携を促す要の役割を果たす――の3点に集約できる。

 患者と医師が一対一の関係になる登録制を医療団体は警戒する。医療団体に配慮するのが習い性になっている厚労官僚も、登録制を制度化するつもりはなさそうだ。だからこそ健保連が実現に向けて行動しようとする意義は大きい。

 英国やオランダの医師資格である家庭医(ジェネラル・プラクティショナー)のように、病のみならず人全体を診る力を備えた医師が日本には少ない。高齢者が激増する今後は、頭のてっぺんからつま先までを、さらにメンタルな面を含めて診る力をもつ医師の養成が急務だ。

 医学部のカリキュラムをそれに合わせる必要がある。河本氏は「時間がかかる話だ。まずは今のドクターをどう再教育するかだ」と話した。この点も医療団体に任せきりにするわけにはゆくまい。


ゲスト / Guest

  • 河本滋史 / Shigefumi KAWAMOTO

    健康保険組合連合会専務理事 / managing director, National Federation of Health Insurance Societies

研究テーマ:かかりつけ医を考える

研究会回数:6

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