2023年02月03日 13:00 〜 14:00 10階ホール
デイビッド・W・パニュエロ (David W.PANUELO) ミクロネシア大統領 会見

会見メモ

2月1日から4日の予定で来日中のミクロネシア連邦のデイビッド・W・パニュエロ大統領が会見に臨んだ。太平洋諸国における安全保障のあり方、東京電力福島第一原発で予定されるALPS処理水の放出に関する質問などに答えた。

 

司会 佐藤千矢子 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞社)

通訳 池田薫 サイマル・インターナショナル

 


会見リポート

超大国の争いより気候変動への対応を

竹内 幸史 (朝日新聞出身)

 ミクロネシア連邦は、太平洋の赤道の北に広がる600余りの小島で成り立つ国だ。人口は約11万人。パニュエロ大統領が「人口の2割は日本人のルーツがある」と言うように、日本とは関係浅からぬ国である。

 第一次世界大戦が起きた1914年、ドイツ領ミクロネシアを日本が占領した。その後、日本は国際連盟の統治委任を受け、「南洋諸島」として支配した。第二次大戦では日米の激戦地になり、戦後は米国の信託統治の後、1986年に独立した。

 今回のパニュエロ大統領の会見で一番の関心は、太平洋島嶼国への米中対立の影響と外交・安全保障政策の行方だった。太平洋では昨年、ソロモン諸島が中国と安全保障協定を結び、米国を慌てさせた。中国がゲームチェンジャーになり、島嶼国への関心がひときわ高まった。

 大統領は今回の来日直前に訪米し、米国との安保枠組み「自由連合盟約(コンパクト)」を20年延長する見通しになったことを明かした。だが、対中関係については多くを語らず、「私たちは平和と調和を大切にし、どの国とも敵にならない」と述べた。そして、「超大国の争いに関心はない。人類共通の関心である気候変動問題の方が重要だ。我々の存立に関わる脅威である。一致団結して気候変動に対応するよう超大国にも呼びかけたい」と訴えた。

 もう一つの注目点は、福島第一原発の処理水を太平洋に放出する日本政府の方針への対応だった。大統領は昨秋、国連総会の演説で「最も深刻な懸念」を示し、「この影響は国境を越え、世代を越える。国民の生活を支える海洋資源の破壊は許すことはできない」と語っていた。

 だが、今回の会見では「岸田首相から処理水について丁寧な説明を聞き、もはや国連で述べたほどの恐れや懸念はない」と、意外なほどあっさり語った。どんな経緯があったのか、もっと詳しく知りたいところだ。


ゲスト / Guest

  • デイビッド・W・パニュエロ / David W.PANUELO

    ミクロネシア大統領 / President of the Federated States of Micronesia

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