2022年10月24日 16:00 〜 17:00 9階会見場
松本吉郎・日本医師会会長 会見

会見メモ

6月に日本医師会会長に就任した松本吉郎氏が登壇し、新型コロナウイルス感染症対応を含めた日本の医療提供体制の現状と課題、日本医師会の取り組みについて話した。

 

司会 猪熊律子 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)


会見リポート

「国民の信頼」得られるか

本田 麻由美 (読売新聞社編集委員)

 新型コロナウイルス感染症への対応を巡り、厳しい視線にさらされてきた日本医師会。6月に新会長に選出された松本吉郎氏は冒頭、「政府・与党の先生方と普段からのコミュニケーションが大事だと考えている」と述べ、「是々非々」を掲げた前会長の路線を転換し、政府との融和路線を改めて強調した。

 「国民の信頼回復」も、政府・与党との関係修復と並び、新執行部の命題だ。感染拡大時、発熱しても診察を断られるなど、医療に不信感を抱いた国民は少なくない。現状でも、都道府県が指定する「発熱外来」は医療機関の36%にとどまる。

 「なかなか医療提供体制がうまくいかないケースもあった」と受け止める。一方で、全国知事会と連携し、全数届け出の見直しや保健医療体制強化を政府に訴えるなどして、「現在はしっかりとした体制が出来上がりつつある」との認識を示した。

 また、新型コロナの人口100万人当たり累積死亡者数(10月18日時点)は、米国3162人、英国3090人などに対し、日本は369人と桁違いに少ないとし、「マクロ的にみれば日本の医療はしっかりコロナに対応できたのではないか」と主張。診察拒否を防ぐためなどとして「かかりつけ医の認定・登録制度」の導入を提案する財務省に、「制度がある国々でもしっかりできていたか疑問だ」と牽制した。

 就任後の感想を問われ、「本当に大変。だが、医療の最前線を肌で感じておく必要もある」と、今も診察に出る日があるという。政府で始まった「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」の議論にも、「患者がどんなかかりつけ医を求めているか。体で受け止め、我々も発信していきたい」と述べ、近く日医の考え方について公表するとした。

 かかりつけ医の活用を呼びかけてきた日医だが、制度化には「医師の選別につながる」などと反対の声も根強い。組織をまとめ、国民の信頼を得られるか。手腕が注目される。


ゲスト / Guest

  • 松本吉郎 / Kichiro MATSUMOTO

    日本医師会会長 / Chairman, Japan Medical Association

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