2022年09月30日 16:30 〜 18:00 10階ホール
「かかりつけ医を考える」(1) 草場鉄周・日本プライマリ・ケア連合学会理事長

会見メモ

草場鉄周・日本プライマリ・ケア連合学会理事が、かかりつけ医の制度化の必要性とその課題、医療提供体制がどのように変わるのかについて話した。

 

浅井文和 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞出身)


会見リポート

「かかりつけ医の制度化を」

猪熊 律子 (企画委員 同シリーズ担当 読売新聞社編集委員)

 コロナ禍でがぜん、注目を浴びた「かかりつけ医」。しかし、そもそもかかりつけ医とは何で、国民はどう選び、どう関わればよいのか――。

 国民にとってわかりにくいそれらをメディアがきちんと伝えたいという意図が、今回始めたシリーズ企画「かかりつけ医を考える」にはある。だが、それだけではない。

 かかりつけ医やその機能を考えることは、日本の医療の特徴であるフリーアクセスや、診療報酬体系、医学教育のあり方など、医療システム全体を考えることにつながる。医療・介護需要が増す一方、現役人口が急減する大きな曲がり角にある中で、「かかりつけ医」を切り口に日本の医療体制を問うのが企画の趣旨だ。

 初回のゲストは、日本プライマリ・ケア連合学会理事長で、「北海道で一家庭医として20年以上、家庭医療に携わってきた」と話す草場鉄周氏。明快に、現状医療の問題点と、かかりつけ医の制度化の必要性を語った。

 問題点として指摘したのは、フリーアクセスにより患者が医療機関を選んで受診する自由がある一方で、住民一人一人の健康管理を医療機関が責任を持って担うシステムがない点。「すべての国民が本当に必要な時に、確実に医療を受けられる仕組みとなっていないため、コロナ禍など有事の際は、住民が健康リスクをすべて自分で引き受けざるを得ない」と危機感をあらわにした。

 健康増進、疾病予防などの「公衆衛生・保健行政」と「専門医療」をつなぐ「かかりつけ医のあり方」(プライマリ・ケアの体制)が重要だとして①かかりつけ医機能の明確化②総合診療ができるかかりつけ医の養成③登録制の導入――など、段階的に、かかりつけ医の制度化を進めることを提案した。

 いずれも難題だが、今は「医療再構築の大きなチャンス」という前向きな言葉をヒントに、今後も議論を重ねたい。


ゲスト / Guest

  • 草場鉄周

    日本プライマリ・ケア連合学会理事長

研究テーマ:かかりつけ医を考える

研究会回数:1

ページのTOPへ