2022年09月09日 13:00 〜 14:00 10階ホール
古宮洋二 JR九州社長 会見

会見メモ

西九州新幹線(武雄温泉~長崎間)が9月23日に開業するのを前に、JR九州の古宮洋二社長が登壇。

「九州における2つの新たな出発―西九州新幹線と日田彦山線」と題し、 西九州新幹線への期待や、開業による効果、地方路線のあり方などについて話した。

 

司会 中山淳史 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)


会見リポート

「新幹線効果」時間差で

岩本 誠也 (西日本新聞論説委員)

 新型コロナ禍で経営環境が一変し本州のJR旅客3社が2年連続赤字となる中、1年で黒字を回復したJR九州。2024年度までの3年間で以前の成長軌道に戻し、その先の持続的な成長につなげる絵を描く。

 そのカギとなるのが、会見で紹介した「2つの新たな出発」。西九州新幹線(9月23日開業)とBRTひこぼしライン(来年夏開業)で、どちらも沿線の地域づくりと密接に関わるプロジェクトだ。

 長崎と武雄温泉を結ぶ西九州新幹線は約66㌔と日本一短い新幹線。武雄温泉駅では、同一ホームでの新幹線と在来特急の対面乗り換えを導入し、乗客のストレス軽減を図る。

 時短効果は博多―長崎で30分。料金は上がる。どれだけ利用者が増えるか読みにくいが「来年秋には長崎駅に新駅ビルが完成し、佐賀県嬉野市の旅館も開業する。開業効果が時間差で見込める。足の長い取り組みをして、長い目でお客さまを増やしたい」。整備計画が未定の新鳥栖―武雄温泉については国と佐賀県の協議を見守る構えだ。

 BRTひこぼしラインは、5年前の九州北部豪雨で被災し運休している日田彦山線の添田―夜明(29・2㌔)をバス高速輸送システム(BRT)に転換するもの。中国製の小型電気バス4台を中心に運行する計画で「新しい一つのローカル線の形にもなりうる」と意気込む。

 管内には、熊本豪雨で被災し一部運休が続く肥薩線のほか、平均通過人員千人未満の赤字区間もある。国の動きを見ながら、沿線自治体との対話を続けていくという。

 「初公開」と会場で流したのは、西九州新幹線の各駅で撮影した市民参加型のプロモーション映像。笑顔があふれ、東日本大震災の発災翌日に全線開通した九州新幹線のCM映像と重なる。「元気づけられた!」と当時、話題になった。鉄道には元気を届ける力もある。


ゲスト / Guest

  • 古宮洋二 / Yoji FURUMIYA

    JR九州社長 / President, Kyushu Railway Company

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