会見リポート
2022年05月30日
13:30 〜 14:30
10階ホール
ブヤル・オスマニ北マケドニア外相 会見
会見メモ
2020年に北大西洋条約機構(NATO)に加盟した北マケドニア(旧マケドニア)のブヤル・オスマニ外相が、NATO加盟の意義や欧州の安全保障の現状などについて話した。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)
会見リポート
NATO・EU・日本のウクライナ支援策を支持
原田 健男 (元JNNカイロ支局長・山陽放送出身)
1991年旧ユーゴスラビアから分離独立した「北マケドニア共和国」は、人口200万人余りの小さな国だが、2020年NATO北大西洋条約機構に加盟、現在EU加盟候補国である。会見したブヤル・オスマニ外相は、「ロシアが侵略しているウクライナへの支援はNATO・EUの政策を全面的に支持し、協調してゆきたい」と述べるとともに、「日本とも民主主義、法の支配、人権の尊重の価値観を共有している。ヨーロッパの安全保障だけでなくインド太平洋の安全保障も視野に入れて、自由主義世界は結束してゆかねばならない」と強調した。
北マケドニア共和国は、旧ユーゴスラビアから「マケドニア共和国」として独立したが、かつてのマケドニアを作ったとされるギリシャ人とは違う南スラブ人の国家であるほか、国の範囲がかつてのマケドニアの半分以下しか含んでいないとして、ギリシャから国名を変えるよう求められていた。長い交渉が続いたが、2019年に「北マケドニア共和国」とすることでギリシャとも和解し、翌年にNATOに加盟、現在EUに加盟交渉中である。NATOに加盟した理由として、オスマニ外相は「北方面の強化が必要」と述べ、旧ユーゴスラビアの主体を引き継ぎ、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ等の各紛争に関わったセルビアを意識していることを明らかにした。
エネルギーについては、現在ロシアから輸入している石油については、EUの政策にのっとり減らしていくほか、同じく100%ロシアから輸入している天然ガスについてはギリシャの港からの輸入やブルガリアからのルートなど多角化を進め、ロシアからの輸入を減らすEUの政策に同調してゆく考えを示した。
また、北マケドニアはNATO加盟・EU候補国で今や安定した国だとして今回の訪日の目的の一つでもある投資も呼びかけた。
ゲスト / Guest
-
ブヤル・オスマニ / Bujar Osmani
北マケドニア外相 / Minister of Foreign Affairs of the Republic of North Macedonia