2021年11月15日 15:00 〜 16:00 10階ホール
「子どもの自殺」伊藤次郎・NPO法人OVA代表理事、小林純子・NPO法人チャイルドライン支援センター代表理事

会見メモ

昨年度に自殺した児童や生徒は415人と前年度から100人近く増えて過去最多となった。

電話やネットなどで子どもの相談をうけているNPO法人OVA(オーヴァ)代表理事の伊藤次郎さんと、NPO法人チャイルドライン支援センター代表理事の小林純子さんが最近の相談内容の傾向などについて話した。

小林さんはオンラインで登壇した。

 

司会 早川由紀美 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)


会見リポート

安心できる居場所を/ゲートキーパー養成が急務

奥野 斐 (東京新聞社会部)

 「おかあさんが窓に紙を貼って外を見てはダメと言う。何日も帰ってこない」「テレビで『ぎゃくたい』のことをやっていた。自分がされていることと同じだと思った」「コロナの給付金って子どもでももらえますか」

 これらは、いずれも子ども専用の相談窓口「チャイルドライン」に寄せられた声という。支援センター代表理事の小林純子さんは、コロナ禍で家庭内の虐待や生活困窮などの問題が深刻化し、「ありえないということが実際に子どもの身に起こっている」と紹介した。

 コロナ禍で子どもの自殺が急増した背景について、登壇者2人がともに指摘したのは、子どもたちの「居場所のなさ」と「孤独感」だ。インターネットで「死にたい」などと検索した人に向け、相談窓口を案内し支援につなげている伊藤次郎さんは「子どもを取り巻く生きづらさは以前からあったが、コロナの影響で多くの子が学校や家庭に問題を抱え、居場所がないと訴えている」と話した。

 昨年度は、女子・女性の自殺者の増加が顕著で、高校女子では約2倍に増えた。伊藤さんは、著名人の自殺報道などメディアが自殺を誘発する可能性があることにも触れ、世界保健機関(WHO)のメディア関係者向けガイドラインや、映画制作者、舞台・映像関係者向け手引きを守るよう注意を促した。

 今後、必要な対策は何か。伊藤さんは、子ども自身が助けを求める力を身につけるための「SOSの出し方教育」の推進や、困っている人に気づいて声をかけ、支援につなげる「ゲートキーパー」の養成、インターネット相談の拡充などを求めた。自殺リスクの高い子と出会いやすい養護教諭やスクールカウンセラーらへの研修も提案した。小林さんは、子どもの気持ちに寄り添い、「見る・聴く・つなぐ」ができる大人を増やすこと、国や自治体に対しては子どもに関わる団体・人への財政支援や、児童相談所の充実などを訴えた。


ゲスト / Guest

  • 伊藤次郎

    NPO法人OVA代表理事

  • 小林純子

    NPO法人チャイルドライン支援センター代表理事

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