2021年11月10日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「衆院選から民意を読む」松本正生・埼玉大学名誉教授

会見メモ

世論調査、選挙分析の第一人者である松本正生・埼玉大学名誉教授が、衆院選の結果、横浜市長選、参院選補選の調査も踏まえ、民意を読み解いた。

 

司会 川戸惠子 日本記者クラブ企画委員(TBS)


会見リポート

選挙情勢調査は戦国時代に

山田 惠資 (時事通信社解説委員)

 「政治と世論調査」研究の第一人者が最初に「異変」を感じたのは期日前投票の動向だったという。「これまで期日前投票は、直前の金曜、土曜に集中したのに今回はピタリと止まったことにおやっと思った」と明かした。

 衆院選の結果は、自民党が単独で絶対安定多数の261議席を確保して「大勝」。野党第1党の立憲民主党は大幅に後退し、枝野幸男代表が辞任する事態となった。分析は明快だった。「与野党伯仲を望むものの、政権交代は求めない有権者の自制心も働いた」

 一方で、自民党の苦戦を伝えるメディア各社の予想が大きく外れる形となったことについてはこう解説した。「従来のRDD方式(コンピューターで無作為抽出した電話番号に架電)が、スマートフォン時代には追い付かなくなった」

 そうした中、自ら社長を務める社会調査研究センターが実施したスマホのみの調査方法「dサーベイ」の精度の高さが立証された。その流れはこうだ。NTTドコモのスマホユーザーを中心とする「dポイントクラブ会員」(約5400万人)から対象者を無作為抽出→スマホ/固定電話で調査協力を依頼→承諾者にウェブアンケートを送付→回答を回収―。調査自体はすべてウェブ上で行われる。

 従来の調査はオペレーターが対象者から回答を聴き取る形だったが、dサーベイは対象者が全てウェブで回答するため、「対象者本位という点で、社会のコミュニケーションの変化に合わせたルールチェンジになる」と見る。実際にこの方式で実施した今回の衆院選直前(10月30~31日)の調査(約17万5000人回答)では、小選挙区、比例代表ともほぼ実際の選挙結果と一致した。

 世論調査の方法も大きな節目を迎えようとしていることに手応えは感じている。だが今後、メディア各社も調査方法をリニューアルして来ることは間違いない。「選挙予測は戦国時代に入った」と語気を強めた。


ゲスト / Guest

  • 松本正生

    埼玉大学名誉教授

研究テーマ:衆院選から民意を読む

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