2021年09月28日 15:30 〜 16:30 オンライン開催
「新型コロナウイルス」(74) 緊急時対応の強化に向けて

会見メモ

政策提言「コロナ危機下の医療体制研究会提言② ~新型コロナ感染等緊急時対応の強化に向けて~」をまとめた小林慶一郎・慶応義塾大学教授(写真左)、大橋博樹・多摩ファミリークリニック院長(写真左から2枚目)、草場鉄周・日本プライマリ・ケア連合学会理事長(同3枚目)、湯﨑英彦・広島県知事(同4枚目)が、提言のポイントや、医療提供体制、緊急時対応の在り方について話した。

 

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

「かかりつけ総合医」の活用を

浅井 文和 (日本医学ジャーナリスト協会会長、朝日新聞出身)

 新型コロナウイルス感染症対策で東京都などに出されていた緊急事態宣言は解除になったが、引き続き感染拡大への備えが求められている。

 「コロナ危機下の医療提供体制と医療機関の経営問題についての研究会」は9月、「新型コロナ感染等緊急時対応の強化に向けて」という政策提言を発表した。強力な人流制限、ワクチン接種率の引き上げ、デジタル化加速など内容は多岐にわたるが、特に、医療資源の有効活用については具体的だ。

 とりまとめた小林慶一郎氏が概要を説明。補助金を受けた医療機関のコロナ患者受け入れの「見える化」、補助金受け入れの実態調査などを指摘した。

 川崎市内のクリニック院長、大橋博樹氏は8月に発熱外来患者数が急増した実情を語った。自宅療養者への新規往診依頼も毎日2~3名受けた。医師患者双方が信頼し合える「私のかかりつけ医」がいると、ふだんから予防接種や健診ができ、コロナ往診にも対応可能という。

 草場鉄周氏は日本でプライマリケアが制度化されていない問題点を指摘した。コロナ感染の可能性がある患者へのオンライン診療を提供する用意がなく、自宅待機患者への診療も難しかった。英国でプライマリケアを担う総合医制度に関する質問に答えて、英国ではコロナ対応で総合医診療の多くがオンライン診療になり、薬もオンラインで処方できたと説明した。

 湯﨑英彦氏は東京と地方の意識のずれや、テレビなどでの東京中心のコンテンツの問題を指摘した。地域の対策よりも東京・大阪の対策が放送時間を占拠していた。

 全体として、大橋氏や草場氏が提案した平時から健康管理を担うかかりつけ総合医の重要性が印象深かった。コロナ対応での混乱を教訓に、日本の医療制度を根本的に見直す時期に来ていると感じた。


ゲスト / Guest

  • 大橋博樹

    多摩ファミリークリニック院長

  • 草場鉄周

    日本プライマリ・ケア連合学会理事長

  • 小林慶一郎

    慶應義塾大学教授、キヤノングローバル戦略研究所上席研究員

  • 湯﨑英彦

    広島県知事

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:74

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