2021年01月26日 13:30 〜 15:00 オンライン開催
「バイデンのアメリカ」(1) 藤崎一郎・元駐米大使

会見メモ

ジョー・バイデン氏が1月20日(現地時間)、米国の第46代大統領に就任した。

トランプ政権下で進んだ国内、国際社会の分断をどう立て直すのか。「バイデンのアメリカ」と題し、シリーズで米国の行方を多角的に展望する。

第1回ゲストとして、2008年~12年まで駐米大使を務めた藤崎一郎氏が登壇。過去、米政権がたどった道のりを振り返りながら、バイデン政権が直面する喫緊の課題、今後の外交政策などについて話した。

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

米新政権、伝統外交へ回帰

齋藤 淳 (時事通信社外経部長)

 「米国はトップが変われば変わる国」。米国通として知られる藤崎一郎元駐米大使の見識だ。ジョンソンによる「北爆」、ニクソンによる「ベトナム和平」「訪中」、クリントンによる「北朝鮮軽水炉供与」、ブッシュ(子)による「軽水炉供与廃止」「イラク戦争」、オバマによる「イラク戦争否定」「TPP」「パリ協定」「イラン核合意」「キューバ国交回復」、トランプによる「オバマ成果ほぼ全面否定」など、歴代大統領による顕著な行動を列挙し、米国は政権交代で政策が大きく変わるということを認識すべきだと説く。

 特にトランプ前政権で対立が激化した中国との関係については、バイデン政権は既に「競争相手」と位置付け、「脅威」と表現するロシア、北朝鮮、イランの3カ国とは「はっきり区分している」と強調。中国とは「協力する分野は協力するという姿勢」で、「一緒に中国と対峙、競争していこうではないか」と、米国は日本などの同盟国に呼び掛けてくる可能性があるという。また、対北朝鮮問題では「トップ交渉」から「実務者交渉」にシフトし、制裁手段のみならず「人道(食糧)援助」に動く可能性も否定できないと指摘。さらに、世界保健機関(WHO)などの国際機関への復帰、北大西洋条約機構(NATO)重視への転換、ロシアとの新戦略兵器削減条約(新START)延長、イラン核合意復帰の可能性なども踏まえて、米国は「コペルニクス的転回」で伝統的な外交に復帰すると結論付ける。

 「ブッシュはロックをかけた。オバマはブルースをかけた。トランプは1人ゴーゴーを踊った。そして今、バイデンが出てきてワルツをかけて一緒に踊ろうと言っている」。米国を世界唯一の「ディスクジョッキー(DJ)」に例えたユニークなジョークも披露し、対米外交ではさまざまな「音楽」を耳に入れながら政策面でできる限り協力する必要性も説いた。


ゲスト / Guest

  • 藤崎一郎 / Ichiro Fujisaki

    日本 / Japan

    元駐米大使 / former ambassador to USA

研究テーマ:バイデンのアメリカ

研究会回数:1

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