2021年01月29日 16:30 〜 17:15 オンライン開催
「3.11から10年」戸田公明・大船渡市長

会見メモ

東日本大震災から間もなく10年を迎えるのを前に、「3.11から10年」と題し、被災自治体の首長や学識者に復興の現状と課題を聞く。

初回ゲストとして、岩手県大船渡市の戸田公明市長がリモートで登壇し、復興の歩みと現状、残された課題について話した。

 大船渡市では復興にあたり、大規模な宅地造成は行わず、既存住宅地の空き地などに移転先を差し込む「大船渡方式」という独自の方法で住宅再建を進めてきた。

戸田市長は「短工期ででき、工事費も少なくて済む。コミュニティーも維持できた」と大船渡方式のメリットを強調。他の自治体も事前復興の参考にしてほしい」と述べた。

司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)

 


会見リポート

「大船渡方式」を他の模範例に

中根 圭一 (読売新聞社盛岡支局)

 災害大国・日本に引き継ぐべきことと、見直すべきことは何か。現場で指揮を執ってきた戸田氏の言葉は、示唆に富んでいた。

 被災地では宅地の高台移転が行われたが、山を削らなければならなかった。整備を待ちきれず、他の地域に移った人が少なくなかった。

 そこで、大船渡市が取り組んだのが「差し込み型」と呼ぶ高台移転だ。既存の高台にある空き地や農地を宅地に有効活用する手法で、簡易な工事で済んだ。戸田氏は「工期が短く、コストを抑えられた。コミュニティーの維持にもつながった」と強調する。「大船渡方式」と名付け、南海トラフ巨大地震が想定される地域にも「モデルケース」として案内するつもりだ。

 一方、土地区画整理事業で整備した土地の15%は未利用のまま。戸田氏は「狙い通りにいかなかった」と話す。

 そもそも現行の復興制度に限界はないのか。そんな疑問が浮かんだ。


ゲスト / Guest

  • 戸田公明 / Kimiaki Toda

    日本 / Japan

    岩手県大船渡市長 / Mayor of Ofunato city, Iwate Prefecture

研究テーマ:3.11から10年

研究会回数:1

ページのTOPへ