2021年02月19日 14:00 〜 15:00 オンライン開催
澤田純・日本電信電話株式会社社長 会見

会見メモ

昨年末にNTTドコモを完全子会社化した日本電信電話株式会社の澤田純社長が登壇。子会社化の背景をあらためて説明するとともに、コロナ禍でのリモート社会、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展を見据え、同社が進める次世代ネットワーク構想「IOWN」などについて話した。

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

完全子会社化で「ゲームチェンジ」

樋口 卓也 (時事通信社経済部長)

 昨年、NTTは携帯子会社NTTドコモの完全子会社化を発表し、通信業界に衝撃を与えた。澤田純社長は、その真の目的は既存のデジタル技術に革命を起こす「ゲームチェンジ」戦略の実現にある、と強調した。

 菅政権は看板政策として携帯・スマートフォン料金の値下げを掲げている。澤田社長は「値下げをやるために完全子会社化をやったわけではない」とした上で、通信容量20ギガ・2980円の新プラン「アハモ」導入で電気通信サービスの内外価格差はかなり改善されると訴えた。

 かつてNTTグループの稼ぎ頭だったドコモはユーザーの純減が止まらず、営業利益は携帯大手3社中3位に低迷している。

 澤田社長は「次世代の基盤を作るために、自社グループの成長、ドコモの成長が欠かせない」と強調。さらにGAFAと呼ばれる巨大IT企業の通信業参入に対抗する必要もあり、「(ドコモの)連携や意思決定の迅速化には、完全子会社化が必要だった」と説明した。

 次世代の基盤とは、澤田社長が「IOWN」と名付けた遅延のない超高速・大容量ネットワークだ。実用化が始まった「5G」の技術は外国勢が主導した。澤田社長は、各国が開発にしのぎを削る次世代通信規格のインフラに「より日本が関与できるエコシステム」の構築を目指している。

 2050年に必要なデータ容量は16年比4300倍になり、データセンターの能力が追い付かなくなる恐れがあるという。NTTはその課題を解決する「光」技術の進化を急ぐ。澤田社長は「現在のIT、通信システムを変える。ゲームをチェンジする。基本ソフト(OS)もアプリケーションソフトも変わる」と意気込んだ。

 「誠実」をモットーとする澤田社長らしく、記者の質問にも丁寧に回答。「提言はある。日本が一番やらないといけないのは実行」との言葉が心に残った。


ゲスト / Guest

  • 澤田純 / Jun Sawada

    日本電信電話株式会社(NTT)社長 / president and chief Executive Officer, NTT

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