会見リポート
2020年07月01日
13:00 〜 14:00
10階ホール
「新型コロナウイルス」(32) 湯浅祐二・永寿総合病院院長
会見メモ
東京・台東区の中核病院である永寿総合病院が大規模な院内感染を経て、6月8日に診療を再開した。
湯浅祐二院長が会見し、患者・職員ら計214人が感染、うち患者43人が死亡するに至った経緯や対策、職員らの思いを語った。
司会 磯崎由美 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)
会見リポート
大規模院内感染の経緯語る/「基本的な予防策不十分だった」
月舘 彩子 (朝日新聞社科学医療部)
新型コロナウイルスはクラスターを作り感染を急速に拡大させるため、医療機関にとっては大きな脅威になっている。感染が拡大した2月以降、全国の病院やクリニックで院内感染が相次ぐ。東京都台東区の永寿総合病院は、看護師ら職員と患者214人が感染するなど国内最大規模の院内感染が起きた。感染発覚から3カ月余りが経過した7月1日、湯浅祐二院長が初めて記者会見に応じ、院内の状況を語った。
同病院は、3月23日に入院患者2人の感染が発覚した。6月の診療再開までに、入院患者やその家族ら131人と医師や看護師ら職員83人が感染。うち入院患者43人が死亡するなど、多くの患者が命を落とした。湯浅院長は「最も大きな被害を受けて苦しまれたのは患者さんとその家族。病院の責任者として深くおわび申し上げる」と謝罪した。
感染した入院患者109人のうち4割が死亡。年齢は50~92歳だった。血液内科に入院中の患者が約半数で、進行したがんの患者や複数の病気を抱える高齢者が多かったと説明があった。湯浅院長は、院内で感染が拡大した要因について、国内の感染拡大初期だったことから新型コロナの感染を疑うタイミングが遅れたことや、基本的な感染予防策が不十分だったことなどを挙げ「他の病院に比べて新型コロナへの対処が甘い状況があったと思う」と述べた。
同日の会見では、看護師1人と医師2人の手記も公表した。自らも感染した医師は、呼吸状態が悪化し、安静にしていても呼吸が苦しくなり死を覚悟したと記した。ECMO(体外式膜型人工肺)を使った治療などが行われ、リハビリを経て現在は業務を再開しているという。
2カ月に及ぶ診療制限の間には、職員への差別もあった。入居していたアパートからの退去を求められたり、同居する配偶者が退職を迫られた事例もあったという。4月に退職した看護師もいたと明らかにした。
ゲスト / Guest
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湯浅祐二 / Yuji Yuasa
日本 / Japan
永寿総合病院院長 / Director, Eiju General Hospital
研究テーマ:新型コロナウイルス
研究会回数:32