2020年06月30日 14:00 〜 15:00 10階ホール
「新型コロナウイルス」(31) 自治体の奮闘② 斉藤猛・江戸川区長

会見メモ

コロナ対応の最前線を担う自治体で独自の施策を講じてきた首長として、東京都江戸川区の斉藤猛区長が登壇し、この間の医療、生活支援の現状、第2波への備えについて話した。

江戸川区では検査体制拡充のため、都内で初めてドライブスルー方式のPCR検査を導入した。また軽症者用の療養施設として区内の民間ホテル1棟を借り上げたほか、区の直営ホテルを活用するなど、検査から療養までを区が一貫して支援する体制を築いた。

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信)

■配布資料


会見リポート

区が独自に一貫支援

川村 咲平 (毎日新聞社社会部とうきょう支局)

 住民にとって最も身近な行政機関の区役所が、コロナ禍でどのような役割を果たしているのか。区職員から転身し、昨春の統一地方選で初当選した斉藤猛・江戸川区長が状況を語った。

 斉藤区長は冒頭、コロナ対策で「検査から療養まで、区が一貫して支援する体制を構築した」と述べた。具体的には、4月に都内の自治体で初めて導入したドライブスルー方式のPCR検査や、区立の宿泊施設を軽症者の療養施設として開放した点を例示した。感染者と同居する子どもや高齢者が自宅に取り残されないため、都が用意した施設とは別の民間ホテルも借り上げたそうだ。

 区が一貫して支援するメリットについて①区内で対応が完結するため、区民の安心感につながる②調整相手が地元医師会に絞られ、対応が迅速になる――と説明した。

 後半は、区民生活の支援策を紹介した。区職員から1000件以上が提案され、このうち企業への緊急融資や「特別定額給付金を区内で使おうキャンペーン」など、60件を実行に移したという。高齢者や障害者には個別に困っていることがないか聞き取り、8000人から回答を得た。区職員として37年間勤務し、福祉部長や教育長を歴任するなど行政に精通した区長ならではのきめ細やかな対応が随所に感じられた。一方、自身が財政課長だった頃、リーマンショックの対応で区の財政が危機に陥った苦い経験を念頭に、自治体の貯金ともいえる「財政調整基金」の取り崩しは極力抑えているそうだ。

 意外な数字も報告された。毎年、4月は区内の自殺者数が増えて10人以上になるが、今年に限っては「ゼロ」だったという。専門家から「コロナという災害に気分が高揚しているだけで、反動があるかもしれない」と助言を受けたと言い、第2波への準備とともに、支援策など情報発信の重要性を強調した。


ゲスト / Guest

  • 斉藤猛 / Takeshi Saitou

    日本 / Japan

    東京都江戸川区長 / Mayer, Edogawa

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:31

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