2020年02月25日 12:00 〜 13:30 10階ホール
ケビン・シュナイダー在日米軍司令官 昼食会

会見メモ

昨年2月から在日米軍司令官兼第5空軍司令官を務めるケビン・シュナイダー中将が会見し、日米同盟の意義などについて話した。

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

 


会見リポート

焦点の米軍駐留経費問題/「会計士ではない」と慎重回答

近野 宏明 (日本テレビ報道局政治部防衛省担当)

 安全保障問題を取材する記者にとって今年の大きなテーマの一つが、今夏にも始まる在日米軍の駐留経費負担を巡る交渉だ。すでにアメリカは韓国にも負担増を強く求めている。日本が、仮にさらなる費用負担をするとなれば、もはや在日米軍は〝傭兵〟と化してしまうと危惧する識者は多い。

 シュナイダー中将は質疑で、日本側の負担増が必要かどうか問われると、「私は会計士ではないと強調したい」と述べ、「イエスかノーかは差し控える」と慎重に回答した。だが最高司令官たるトランプ大統領は安全保障や同盟関係にも「会計士」さながらのコスト管理を求める人物なのだ。

 日米同盟の高い価値を見誤ってこの地域へのコミットメントを薄めるのも問題だが、その価値に法外な対価を求めるのもまた困る。前段に関してシュナイダー中将は冒頭発言から同盟の価値と意義を繰り返し、軍高官として常識的な見解を強調した。他方でそれに見合う対価=すなわち駐留経費負担の今後については「トランプ路線」に符合する認識も示した。すなわち、「一般論だが」と前置きしつつも「過去にやってきたことだけでは十分ではない」とか「ありとあらゆる取り決めを見直す必要がある」との発言がそれに当たる。大統領の考えに反する者は誰であろうと更迭されるのがいまのアメリカだ。中将の発言は大統領の意をよくよく吟味してのものだろう。

 前回までの日米交渉を知る当局者は、実はオバマ政権も当初は相当に高いボールを投げてきたと私に証言した。ただそのタフな交渉がどの辺りで収斂するかには、おのずとプロ同士が共有する常識が働いたともいう。日米同盟の真価を知悉する中将が、交渉担当者や最高司令官たる大統領に対し、今後どんな助言をするかも興味深い。


ゲスト / Guest

  • ケビン B. シュナイダー / Kevin B. Schneider

    米国 / U.S.

    在日米軍司令官 / Commander, United States Forces Japan

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