2019年12月05日 14:00 〜 15:00 9階会見場
著者と語る『LGBTヒストリーブック 絶対に諦めなかった人々の100年の闘い』 ジャーナリスト 北丸雄二氏

会見メモ

原題は「Gay & Lesbian History for Kids - The century-Long Struggle for LGBT Rights」。米出版社が、子供向けにまとめたセクシャル・マイノリティの公民権運動史。弾圧、差別、偏見と戦った有名無名の人々を取り上げ、1世紀以上にわたる苦闘を描いている。訳者の北丸雄二氏(元中日・東京新聞NY支局長)が、LGBTをめぐる米国や世界の潮流と比較しながら、日本の現状などについて語った。

『LGBTヒストリーブック 絶対に諦めなかった人々の100年の闘い』(サウザンブックス社)

司会 宮田一雄 日本記者クラブ会員


会見リポート

ブームを下支えする資料として/300件の文献と400人の登場人物

宮田 一雄 (産経新聞出身)

 北丸さんは1993年から96年まで中日新聞(東京新聞)のニューヨーク支局長だった。その頃の話から会見は始まる。

 「LGBTの取材をした方がいいよといっても日本人は誰ひとり振り向いてくれなかった。むしろ忌避するような状態」 

 LGBTはレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字であり、最近は性的少数者の総称として使われることも多い。

 私も当時、産経新聞ニューヨーク支局にいたので、そのアドバイスに接し、振り向きもしなかった記憶がかすかにある。ごめんなさい。

 北丸さんはその後、フリーのジャーナリストとして米国にとどまり、昨年、日本に拠点を移した。「戻ってくると国内はにわかLGBTブームになっていた」という。

 ただし、人権運動としてブームを下支えする資料がない。米国の独立系出版社の編集長、ジェローム・ポーレンが子供向けに書いた『LGBTヒストリーブック』を翻訳したのはそのためだ。300件の文献をもとに紹介される登場人物は400人近い。図や写真を多く使いで、記述も平易で分かりやすい。ただし、「論理に関しては一点の妥協もない。アメリカの民主主義の実現の仕方を学ぶ一級の資料」と本書の魅力を語る。

 副題には『絶対に諦めなかった人々の100年の闘い』とあるが、記述は19世紀後半から始まっている。詩人オスカー・ワイルドは1895年、同性愛行為で刑事罰に問われ、禁固2年の判決を受ける。ワイルドは「私には何も言うことができないのですか」と裁判官に問うが黙殺され、廷吏に法廷から引きずりだされる。

 「ワイルドがその時に言いたかったことが100年を通じて、紡がれていった」。北丸さんの話はそこから、エイズの流行という厳しい試練を経て、来年の米大統領選挙をめぐる動きにまで及んだ。まず大人が読んでおきたい本でもある。


ゲスト / Guest

  • 北丸雄二 / Yuji Kitamaru

    ジャーナリスト

研究テーマ:『LGBTヒストリーブック 絶対に諦めなかった人々100年の闘い』

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