2019年11月08日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「入管施設収容の在り方」児玉晃一・弁護士

会見メモ

在留資格を持たない外国人が収容される入国管理施設では、収容の長期化や、収容者による自殺や自殺未遂などが起きている。6月にはハンガーストライキによる餓死とみられる例も起きた。

 20年以上にわたり彼らの支援を続ける児玉晃一弁護士が登壇し、現行制度の問題点などについて語った。

 

司会 坪井ゆづる 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

日本は難民申請認定率1%以下/「入管の収容、ひどい人権侵害だ」

古川 幸太郎 (西日本新聞東京支社報道部)

 〝難民鎖国〟―。25年前から外国人の収容問題に取り組む児玉晃一弁護士は日本の難民申請認定率1%以下の現状について「最悪」と言う。

 出入国在留管理庁の施設に収容される外国人が急増している。6月末時点での施設収容者1253人のうち、679人が6カ月以上で、3年以上が76人に上る。収容には法的上限がなく、裁判所の審査もない。一方で、仮放免は厳格化され、出口の見えない収容に抗議するハンガーストライキは広がっている。

 大村入国管理センター(長崎県)では6月、約3年半収容されていたナイジェリア人の男性が餓死した。入管は「(対応は)は不相当だったとは言えない」と結論付けた。男性は仮放免を求めていたが、前科があり、許可されなかった。

 児玉氏は「入管の収容は、悪名高い戦前の治安維持法よりひどい人権侵害だ」と厳しく批判する。

 その理由は、再犯の恐れを理由に拘禁を認める予防拘禁との比較だ。予防拘禁は1941年からの4年間で62件だったが、現在、送還を拒否している収容者の366人が有罪判決を受けている。現在の運用について「治安維持を理由にするプロパガンダで危険だ」と指摘する。

 政府は4月から人手不足を解消するため、新たに在留資格を設けて「労働開国」にカジを切った。選ばれる国を目指すのであれば、外国人の人権をないがしろにする「難民鎖国」も改善するべきだ。

 児玉氏はその対策の一つに、韓国や台湾でも行われている「アムネスティ」(一定の条件を満たした非正規滞在者に在留資格を認める)を提言する。そうすれば、難民申請の乱用も減り、働き手も増えるという。入口も出口も同じ「人間」として―。当たり前の人権意識が問われている。


ゲスト / Guest

  • 児玉晃一 / Koichi Kodama

    日本 / Japan

    弁護士 / attorney at law

研究テーマ:入管施設収容の在り方

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