2019年07月19日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「朝鮮半島の今を知る」(29) 習近平の北朝鮮政策 青山瑠妙・早稲田大学大学院教授

会見メモ

青山瑠妙(あおやま・るみ)教授が登壇。習近平の対北朝鮮政策、電撃的に行われた米朝首脳会談に中国がどのようにかかわったのかなどについて語った。

青山教授は中国外交、中国政治が専門で『Decoding the Rise of China: Taiwanese and Japanese Perspectives』(2018年)『中国外交史』(2017年 東京大学出版会)などの共著がある。

早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教員紹介

※ゲストの希望により動画公開は行いません

 

司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞社)


会見リポート

中朝経済、北京にとっても実は重要

服部 健司 (時事総合研究所代表)

 「図們江開発」という懐かしい言葉を聞いた。中朝・ロ朝国境河川の図們江(朝鮮名・豆満江)流域を開発する多国間プロジェクトとして、熱い注目を浴びたのはもう30年近く前。ポスト冷戦時代の新モデル、北東アジアの新風、環日本海経済圏などともてはやされ、当時私も駐在地の北京から現地に飛び、あちこちうろついた。しかしほどなく北朝鮮の核疑惑が浮上、熱は一気に冷めた。その図們江開発への期待が、いま中国で高まっているという。

 青山教授は中国の北朝鮮政策について、①朝鮮半島の平和と安定②米中関係③中朝経済関係④朝鮮半島の非核化―の4本の柱を挙げた。「意外に思われるかもしれないが」として強調したのが③だ。中朝経済関係は北朝鮮にとって生命線だが、中国にすれば微々たるもの。むしろ「戦略的緩衝」を維持するため負担を耐えている。そんなふうに思っていたが、教授によると、中国は立ち遅れた東北3省(遼寧省、吉林省、黑龍江省)の発展戦略上、北朝鮮との経済関係が不可欠だと考えている。

 青山教授は1991年以来の中朝関係を4段階に分け、外部からはなかなかうかがい知れない微妙な変化を丁寧に跡付けた。なかでも興味深かったのは、習近平ブランドである「一帯一路」イニシアチブが2013年に打ち出されたのに伴い、中国で対朝関係の重要性が再認識されたという分析だ。昨年来、北東アジア経済協力に関するシンポが増え、そこでキーワードとなっているのが「図們江開発」。国連制裁が緩和されない現状で本格推進は難しいものの、中国国内では相当熱を込めて議論されているという。

 もちろん中国の北朝鮮政策の背後には、常に米国の巨大な影がある。貿易をめぐる米中対立が深まる中、トランプ政権は北京(中国政府)経由よりも米朝直接ディールを選択した。中国はこの問題で「排除される」ことを懸念し、北との関係強化に乗りだす。そして平壌への圧力を弱める。非核化達成には望ましくないことに、北京の影響力は「非常に限定的」であり、両国関係は「北朝鮮ペースで動いている」というのが青山教授の見立てだ。


ゲスト / Guest

  • 青山瑠妙 / Rumi Aoyama

    早稲田大学大学院教授 / professor, Graduate School of Asia-Pacific Studies, Waseda University

研究テーマ:朝鮮半島の今を知る

研究会回数:29

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