2019年06月20日 13:30 〜 15:00 9階会見場
「朝鮮半島の今を知る」(27) 内田雅敏弁護士

会見メモ

中国における強制労働への補償問題において原告側代理人を務めた内田雅敏弁護士が登壇。和解交渉の過程や韓国の徴用工問題との違い、今後の日韓交渉のあり方などを語った。

 

司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)

 


会見リポート

和解には「自らの慎みと節度が前提」

桜井 泉 (朝日新聞社オピニオン編集部)

 弁護士の内田雅敏さんは、第2次大戦中の中国人強制連行をめぐる訴訟で労働者側の代理人を務めたことで知られる。鹿島、西松建設、三菱マテリアルと和解した経験を踏まえ、日韓外交の大きな懸案となった「徴用工問題」について語った。

 昨年秋、韓国の大法院(最高裁)判決は、日本企業に「徴用工」への賠償を命じた。だが日本政府は、日韓請求権協定(1965)で「完全かつ最終的に解決済み」とし、強く反発している。

 内田さんは「協定で放棄したのは政府の外交保護権であり、個人の賠償請求権ではない」という。日本政府も従来、日本国民の請求権についてそう説明してきた。1991年、当時の外務省条約局長は「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない」と国会で答弁しているのだ。外交保護権とは、自国民がある国から損害を受けたときに、その国に対して外交を通じて救済を求める国家の権利のことだ。

 また、日韓請求権協定で合意した無償3億㌦、有償2億㌦の韓国への供与は、実際には日本企業のモノで支給したものであり、それは日本企業の利益となり、韓国進出にも役立った。内田さんは、安倍政権がこうした点を一切説明しないため、「韓国は(日本から多額の供与を得たのに)、日本との国家間の合意に違反する、とんでもない国だという認識が一般の間に広まっている」と語った。

 ドイツは政府と企業が拠出し、強制労働の被害者に一定の補償をする「記憶・責任・未来」基金をつくった。内田さんによると、日本の官僚の一部にも日韓の政府、企業で基金をつくるアイデアはあるという。

 内田さんは、和解に際して加害者が被害者の寛容を求めるには、まず自らの慎みと節度が前提だとする。そのうえで歴史問題の解決には、加害者側が①加害事実を認識し直視する②謝罪し和解金を支給する③過ちを繰り返さないための歴史教育をすることが必要だと指摘した。

 まったくの正論だ。しかしこうした正論を支持する世論は、なかなか盛り上がらず、現実の政治は動かない。そこに問題の解決が見えてこない深刻さがある。


ゲスト / Guest

  • 内田雅敏 / Masatoshi Uchida

    弁護士 / attorney at law

研究テーマ:朝鮮半島の今を知る

研究会回数:27

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