2018年10月17日 13:30 〜 14:30 10階ホール
武藤敏郎・東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会事務総長 会見

会見メモ

2020年大会の開催概要と準備状況について説明し、大会への思いを語った。

司会 森田景史 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)


会見リポート

成熟社会で問われる開催の意味

「私は大学生でした。ブルーインパルスが青空に描いた五輪マークをはっきり覚えていて……」。武藤氏の語りは1964年東京五輪の回顧から始まった。国際社会への復帰、インフラ拡充。敗戦から19年、高度経済成長期のまっただ中で迎えたあの五輪の大義名分は分かりやすかった。恐らく当時は使われなかった言葉「レガシー」も多く遺された。

 武藤氏は続けた。「では今回、何のためにやるのか。明確になっていないと反省している」。そう。成熟社会で2度目の五輪を催す意味は、ぼやけたまま。だから、あれだけ国民を熱狂させる舞台が帰って来るのに批判ばかりが渦を巻く。莫大な公金の使い道はほかにあるだろうと。やれブラックボランティアだのと。

 様々な背景や指向を携えた人々が世界中から集う。「多様性の受容と共生社会の実現」が大きなテーマだと位置付ける。「サステナビリティー」も然り。メダルは都市鉱山からつくられる。64年とは比べものにならないほどパラリンピックの存在感は増し、障害者も高齢者も暮らしやすい「アクセシビリティー」の充実もメッセージになる。

 ただ、どれもピンと来ない。こうした機運を高めるきっかけが、リスクを負って開く五輪である必然性に乏しい。武藤氏自身も言った。「五輪を通じて発信するのだから、五輪としてビジョンを持たなければ」。予定の終了時刻を超えて誠実に答えた姿に、悩みは深いなと感じる。

 あと2年しかない。でも、2年ある。レガシーは次世代に遺すもの。ならば、私たちおじさんだけで机上で頭をひねるのではなく、いまからでも若者たちに広く呼びかけてみてはどうか。世知辛いご時世、どんな五輪になれば未来に希望を抱けますか? みんなで一緒に知恵を絞りませんか? 瑞々しく柔軟な感性にかけるのだ。まだ間に合う、と思う。

 つらつらとそんなことを考えた。


朝日新聞社スポーツ部  中川 文如

ゲスト / Guest

  • 武藤敏郎 / Toshiro Muto

    東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 / The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games

    事務総長 / CEO

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