会見リポート
2018年10月30日
16:00 〜 17:00
9階会見場
「チェンジ・メーカーズに聞く」(27) 西川徹・プリファードネットワークス社長
会見メモ
会見リポート
日本発ユニコーン、ロボット世界のアップル・グーグルになる日
大石 信行 (日経CNBCチーフ・デジタル・オフィサー)
AI(人工知能)ロボットが、衣類、おもちゃ、文房具で散らかった部屋をキチンと片づける。10月中旬、幕張メッセ(千葉市)で開かれた「CEATEC(シーテック)ジャパン」。700社を超える出展の中でひときわ注目を集めたのが「お片付けロボット」だ。
このロボットの頭脳を開発したのが、西川徹社長率いるプリファード・ネットワークス(PFN)である。推定企業価値が10億ドル(約1100億円)超の未上場企業は世界で「ユニコーン」と呼ばれるが、PFNは日本唯一のユニコーン企業としても有名である。
私もCEATECでロボットの働く姿を見たが、クシャクシャの布きれをちゃんと「ハンカチ」と認識して片づける姿に正直、驚いた。
今までのロボットは、教えられた作業を忠実にこなすだけだったが、細かなルールをあらかじめ設定するなど、教える側も大変。しかし、このお片付けロボットは、PFNが得意とするディープラーニング(深層学習)を応用して、自動的にさまざまな環境や変化に柔軟に対応する“ロバスト”な能力を備えている。つまり、ロボットにこと細かく教え込まなくても、自分で周囲の様子を一般化して行動に移せるわけだ。
日本発スタートアップ期待の星、西川社長のアタマの中にはどんな「未来」があるのだろうか。
「パソコン、スマホに続き、パーソナルロボットの世界がいよいよ現実になる」。西川社長は断言する。パソコンの世界でのマイクロソフト、スマホにおけるアップルやグーグル。そんな役割をプリファードが担っていく意気込みを強く感じた。
アップルやグーグルが開発したスマホOSの上で、さまざまなアプリが動くように、PFNがロボットのプラットフォームを構築、その上で動くアプリを世界中の人たちが簡単に作り出す世界。そして、お片付けロボだけでなく、接客ロボ、介護ロボ、農作業ロボ、物流ロボ……など、さまざまなロボが家庭だけでなく、あらゆる場所で動きまわる世界。そんな時代が近いのかもしれない。
「Learn or Die(死ぬ気で学べ)」 PFNが大切にする「価値(バリュー)」だ。西川社長は「エンジニアはマグロみたいなもの。泳ぐこと(学ぶこと)を止めれば死ぬ」と話す。PFNが高速で泳ぎ続ける先に何が起きるか楽しみだ。
ゲスト / Guest
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西川徹 / Toru Nishikawa
プリファードネットワークス代表 / President &CEO, Preferred Networks
研究テーマ:チェンジメーカーズに聞く
研究会回数:27