2018年08月03日 13:00 〜 14:00 10階ホール
「火星を観るー15年ぶりの大接近」縣秀彦・国立天文台天文情報センター普及室長

会見メモ

火星探査の歴史と将来、大接近の仕組みを解説。火星探索の意義として「地球外生命の探求」をあげた。「地球以外の知的生命体とコミュニケーションをとれれば、地球上の戦争はなくなるのでは。宇宙は文化です」。接近中の火星を「ぜひ望遠鏡で見てほしい」。

 

国立天文台ウェブサイト

4次元デジタル宇宙ビューワー MITAKA

 

司会 上田俊英 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

火星見上げ空想にひたろう

池﨑 光恭 (毎日放送東京支社報道部)

 火星大接近―。魅力的なキーワードだ。「見かけの動き」とか「上弦、下弦の月」とか、自転しながら公転している天体の動きをうまく理解できないまま、大人になった天文音痴の私にも「大接近」という言葉には引き付けられた。

 去年、『火星の人』という小説を読んだ。火星の有人探査でアクシデントが起こり、ひとり取り残されてしまった主人公。しかし、火星の土でイモを栽培し食料を確保。ローバーで脱出ポイントまで砂漠を何千キロも移動する。窮地に陥ってもめげることない主人公の活躍に、ワクワク・ドキドキしながら読んだ。

 この時、火星は随分遠い存在だった。地球の隣の惑星と、知識として知ってはいても、遠い宇宙の彼方の物語というイメージだった。

 しかし、縣室長の話を聞き、随分とイメージが変わった。

 南東の空を見上げてみれば、青白く細々と光る星々の中に、橙色にひと際大きく輝く星。これが火星…?そして、そこには既に多くの人の手が入っていた。火星の軌道上から調査を行う探査機や、地表を自走する探査車が、様々なデータを収集。月の周回軌道上の宇宙ステーションを起点に、有人の火星探査を行うという構想もあるという。

 火星に「火星人」はいなかったが、地下に液体としての水の存在が確認され、掘っていって生き物が存在するかどうかを調べる段階になってゆくとのこと。

 果たして、その生き物とはどんなものなのか。地球の生き物と似ているのか、似ていないのか。6月、7月、砂嵐で火星の表面はかすんでいたが、それも徐々に収まり、8月や9月の方がよく見えるという、今回の大接近。この夏は、少し身近に感じるようになった、ひと際明るい星を見上げ、空想にひたろう。


ゲスト / Guest

  • 縣秀彦 / Hidehiko Agata

    日本 / Japan

    国立天文台天文情報センター准教授 / Associate professor, National Astronomical Observatory of Japan

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