2018年11月12日 14:30 〜 15:30 10階ホール
中尾武彦・アジア開発銀行(ADB)総裁 会見

会見メモ

アジア開発銀行(ADB)の中尾総裁が、アジアの発展と国際的環境の変化、そのなかにおけるADBの役割について話した。

 

Asian Development Bank

ADB駐日代表事務所

 

司会 藤井彰夫 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)


会見リポート

アジアからもっと情報発信を

 2013年にアジア開発銀行(ADB)総裁に就任してから日本記者クラブへの登壇は今回で4回目。

 中尾総裁は会見でアジアからの情報発信の重要性を訴えた。国際金融界では米国の有名大学出身の学者などの発言力が強いが、アジアの声ももっと伝えていくことが必要と言う。

 総裁自身も先の国際通貨基金(IMF)・世界銀行総会の際に開かれたシンポジウムでは、アジア地域では「(サマーズ元米財務長官らが唱える)『長期停滞論』はあたらない」と主張した。ADBの見通しではアジア途上国(香港、韓国、台湾、シンガポールを除く)の今年の成長率は6・5%。「成長が鈍ったとはいえこのまま続けば10年程度で経済規模は2倍になる」

 ADBは、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)との協調を進めている。中尾総裁は日米はAIIBに加盟していないが、「ADBを通じて連携するのは日米にとっても選択肢ではないか」と指摘した。

 同時に最近問題になっている援助国を借金漬けにする中国の融資姿勢などについては「中国は自らを説明する姿と外からみられる姿が乖離している」と指摘。経済大国になったにもかかわらず、いまだに途上国の感覚で主張しがちな中国にも苦言を呈した。

 話題は経済にとどまらず民主主義にも及んだ。世界的にポピュリズム(大衆迎合主義)が広がる中で、アジア地域でも民主主義に対する疑問が起きていることに警鐘を鳴らした。

 中尾総裁は、今の反グローバル化、反多国間主義の背景には、国民国家の中のエリート層と労働者層の断絶が背景にあると指摘。多国間主義が大事と言うだけでなく、こうした分断への対応も必要との見方を示した。最後に日本記者クラブへのメッセージとして「民主主義の基盤になる報道の自由」の重要性を訴えた。


日本経済新聞社上級論説委員  藤井 彰夫

ゲスト / Guest

  • 中尾武彦 / Takehiko Nakao

    アジア開発銀行(ADB)総裁 / President, Asian Development Bank (ADB)

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