2018年05月14日 15:30 〜 17:00 10階ホール
「2年目のトランプ政権」(3) グレン・カール ニューズウィーク日本版コラムニスト/元CIAオペレーションオフィサー

会見メモ

「ロシアの米大統領選への介入は数多くの記録が残っており明白で議論する余地はない」と断定した。

「モラー特別検察官の報告書は、トランプ陣営とロシアとの共謀を明らかにするだろう。ただし、行政府と米議会が結託している中で、報告書の効力に期待はできない」

 

会見記録(ニューズウィーク日本版のサイト)

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

通訳 西村好美


会見リポート

露疑惑、トランプ関与明白

及川 正也 (毎日新聞社論説副委員長)

 CIA(米中央情報局)といえば、世界屈指のスパイ組織だ。その作戦本部に23年間勤め、世界をまたにかけた元オペレーションオフィサーが、諜報戦争のワナにはまったトランプ米政権をめぐる「ロシアゲート」を存分に語った。

 「(2016年の)米大統領選などでトランプ氏周辺や家族、トランプ氏本人に記録にあるだけで400回以上、ロシアの諜報員が接触していた」「トランプ氏は弱みだらけの人間で、工作員の絶好の標的だ」「英国の元工作員によるトランプ氏の動向調査報告では少なくとも1人、おそらく4人の情報源が死んでいる」

 カール氏はロシアが米大統領選に介入した疑いを最初に公にした人物だ。衝撃的な発言が次々と飛び出したが、驚き、そして納得したのはロシアによる「史上最大規模の諜報活動」がトランプ大統領の誕生によって結実したという分析だ。「米国の政治制度の効率を低下させ、国民の不満を高め、民主主義の機能を低下させ、同盟国から分離させること」がロシアの目的だったという。この数年を振り返えれば、そのすべてでロシアは目的を果たしたことになる。

 なぜCIAが阻止できなかったのか。カール氏は「カウンターインテリジェンスの動きは遅く、不十分だった」と認めたが、CIAやFBI(米連邦捜査局)から共和党が情報を入手していたのも確かだ。政治が動かなかった責任もあろう。

 情報機関のすごみは事実の点と点を結んで線につなげ、面へと広げる構想力である。発言の多くは公開情報を元にしているが、独自の分析と解釈を加えることで構図が立体的になり、説得力を持った印象が強い。

 最後にロシアゲートへのトランプ氏の関与についてカール氏はこう語った。「共謀を立証するのは難しい。しかし、圧倒的な情報があり、状況証拠はある。たとえ有罪にならなくても真実は明らかだ」


ゲスト / Guest

  • グレン・カール / Glenn L. Carle

    アメリカ / USA

    ニューズウィーク日本版コラムニスト/元CIAオペレーションオフィサー / Newsweek Japan Columnist/Former CIA Operations Officer

研究テーマ:2年目のトランプ政権

研究会回数:3

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