2017年12月06日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「激動するサウジアラビアと中東情勢」畑中美樹 国際開発センター研究顧問/福田安志 アジア経済研究所上席主任調査研究員

会見メモ

激動するサウジアラビアと中東情勢

多数の王族逮捕で揺れるサウジについて、中東専門家2人が解説した。

「ムハンマド皇太子は、王族内部の反発もあるが、40代の『団塊の世代』に圧倒的に支持されている。今後、開発独裁型指導者になる可能性がある」(福田氏)

「皇太子による社会の自由化を含む諸改革が実を結ぶには時間がかかる。改革には増税など痛みを伴うものもあり、国民が実を享受するまでがまんできるかどうか。イスラエルとの接近にも注目したい」(畑中氏)

 

写真左=畑中氏、右=福田氏

 

司会:出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

サウジの改革・開放路線に期待とリスク

11月4日、200人超の王族などが、汚職などを理由に一斉に逮捕・拘束されたサウジアラビア。ムハンマド皇太子が世界を驚かす強硬な内政・外交政策を主導しているのはなぜか。そこにリスクはないのか。専門家2人がそれぞれの視点で明快に答えてくれた。

 

福田安志氏はサウジ国民の考え方の変化を指摘する。1973年の石油危機後、原油価格の上昇と共にサウジは豊かになり、人口は増え、国民生活も変わった。福田氏は危機後の豊かな時代に育った20代~40代前半までの層を、サウジ版「団塊の世代」と名付ける。保守的・伝統的な価値観と距離を置く一方、社会の改革を求め、腐敗・汚職への批判が強いこの世代が、32歳の皇太子の進める改革・開放路線を熱烈に支持している、と言う。

 

筆者は10年ほど前にサウジの首都リヤドを何度か訪れたが、夜、ビリヤード場や水たばこカフェに集まる若者たちが、想像よりはるかに開放的だったことに驚いた記憶がある。おそらく王族や上級官僚などの子息だった彼らが今、国の中核を占めていると考えると、納得できるものがある。

 

ただ、危うさも否めない。畑中美樹氏は皇太子への国民の支持により、王族内から反対の動きが本格化する可能性は少ないとする一方で、経済・投資面では国内・海外の投資家が警戒姿勢を強めており、今後透明性の確保などが進まなければビジネスへの影響は深刻になる、と分析。国民の改革への期待が失望に向かうこと、イランなどへの強硬な外交政策が失敗すること、と3つのリスクを指摘した。

 

どこの国でも、改革を進める強い指導者が現れる背後には、改革を求める国民の強い意識がある。しかし、国民の意識は、結果次第であっという間に変化するものでもある。2人の専門家からは、サウジがリスクを乗り越えて改革・開放を進め、安定へ向かってほしいとの思いが伝わってきた。


日本経済新聞社編集局次長兼編集企画センター長 金沢 浩明

ゲスト / Guest

  • 畑中美樹 / Yoshiki Hatanaka

    日本 / Japan

    国際開発センター研究顧問 / Advisor, International Development Center of Japan

  • 福田安志 / Sadashi Fukuda

    日本 / Japan

    アジア経済研究所上席主任調査研究員 / Chief Senior Researcher, Inter-disciplinary Studies Center, Institute of Developing Economies

研究テーマ:激動するサウジアラビアと中東情勢

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