2017年11月06日 15:00 〜 16:00 10階ホール
中家徹 JA全中会長

会見メモ

8月に就任した中家徹全国農業協同組合中央会(JA全中)会長が会見し、自身の3年間の任期中に一般社団法人に移行(2019年9月まで)することなども踏まえ「非常に重要な時期」とし、抱負を話した。

JA全中

 

司会 川村晃司 日本記者クラブ企画委員(テレビ朝日)


会見リポート

農協に迫る3つの「期限」

志田 富雄 (日本経済新聞社論説委員)

 今年8月、全国に約650ある農業協同組合を束ねる組織のトップに就任した。小泉進次郎・自民党前農林部会長らと歩調を合わせて改革を進めた奥野長衛前会長に比べ、農業、農協改革に慎重な立場をとる。

 

 今回の会見でも農業を強くしたい思いは小泉氏と同じとしながらも「改革が本当に農業者の所得拡大、農村の活性化に役立つのか、是々非々で望む」と改革ありきではないことを強調した。

 

 農協には今後、3つの「期限」が待ち受ける。まず、来年には1970年代から続いたコメの生産調整(減反)政策が終わり、主食米の生産は制度上、自由になる。改革派は自由な生産を強調するが、農協からすれば生産過剰、価格下落は何としても避けたいところだ。全中はコメの需給調整のための全国組織に政府の関与を求め、自民党内などで駆け引きが続いている。

 

 2019年5月には5年間の農協改革集中推進期間が終わる。政府は農協に対し、期限までに「十分な改革成果を上げる」ことを求める。中家会長も「農協自らの自己改革で1丁目1番地である農業者の所得拡大を実現する」と決意を語る。

 

 農協にとって、最大のヤマ場は21年3月に来る。先の農協改革で先送りされた「准組合員による農協の事業利用規制」を再考し、その是非を決める時だ。農協を構成する組合員は離農によって農業者の正組合員が減り、非農業者である准組合員が過半を占める。准組合員の利用を規制されれば、農協の経営は根幹から揺さぶられることになる。

 

 中家会長が「系統(農協組織)を挙げて(規制を)回避したい」と語る理由だ。農協が「地域生活を維持する役割」に力を入れる理由もそこにある。ただ、こうした農協の変容については農業者への貢献を目的とする農協の設立目的を外れると疑問視する学者も多い。

 

 自己改革で改革派も納得させながら、農協らしさを守る。中家会長の手腕に期待する。


ゲスト / Guest

  • 中家徹 / Toru Nakaya

    日本 / Japan

    全国農業協同組合中央会会長 / Chairman, The Central Union of Agricultural Cooperatives

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