会見リポート
2017年09月20日
15:00 〜 16:00
10階ホール
河野洋平 元衆院議長 会見
会見メモ
日中国交回復45周年で、今春訪中した。「訪中前に外交当局から日中関係は良くなってきた、と報告を受けていたが、実際は安倍政権への中国当局の懸念は消えていないとの印象を受けた」。北朝鮮問題には「日米韓だけでなく中国も最初から仲間に入れて話し合うべき」と提言。今回の解散については、「丁寧に説明すると言いながら何も説明せずに臨時国会の冒頭で解散するのはおかしい」と批判した。
司会 倉重篤郎 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)
会見リポート
ご意見番の面目躍如 日中間の交流拡大を
渡辺 勉 (朝日新聞社編集委員)
ご意見番の話を聞くには絶好のタイミングだった。北朝鮮がミサイル実験を繰り返す中、安倍晋三首相が臨時国会冒頭で衆院を解散する意向だと伝えられていた。
本人も意識して「日中問題などしゃべっている場合かねと言われかねない状況ですが」と言いつつ、日中国交正常化45周年の話から始めた。
9月8日に北京の人民大会堂で開かれた記念式典の前に兪正声・全国政治協商会議主席(共産党序列4位)と面会した際「日中間には複雑な問題がある。ボールは安倍さんが持っている」と言われたことを紹介し、「中国側の安倍政治への懸念は解消していない」という見方を示した。
そして「日中関係で一番心配なのは相互の国民感情だ」と指摘。日中関係の重要さを理解しながら信頼できない状況を改善するため人的交流を盛んにするべきだと提言した。
話は北東アジアに及び、北朝鮮への制裁がうまくいかないのは中国の責任だ、という日本国内の論調を懸念。最も影響を受ける日中韓が一体となって北朝鮮を説得し、同時に中国と米国が北朝鮮の将来をしっかり考えるべきだと持論を展開した。
来年の日中平和友好条約締結40周年にむけて「『日中両国で覇権問題についてお互いに考えよう』と中国側に提案すべきだ」と語った。
質疑に入っても舌端は衰えず、冒頭解散について「『できるだけ丁寧に国民に説明する』と言っていたのに、冒頭解散するのは私には理解できない」と批判。「権力が自分の都合が良い時に解散するのは果たしていいのか議論すべきだ」と訴えた。返す刀で「国民は国会に対する怒りや悔しさを簡単には忘れない。しかし、野党もじたんだを踏んだはずなのに忘れてしまっているのが残念だ」と言い、野党の自覚を促した。
最後に「真の民主主義の再生を願う」と揮ごう。その言葉にふさわしい1時間は、短く感じられた。
ゲスト / Guest
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河野洋平 / Yohei Kono
元衆院議長 / Former Chairman, House of Representatives