2017年09月22日 15:00 〜 16:00 10階ホール
木内登英 前日銀政策委員会審議委員 会見

会見メモ

2012年から今年7月まで日銀審議委員を務めた木内登英氏が「金融政策の正常化とグローバル市場への影響」と題して話した。「中央銀行の最終目標は物価コントロールではなく国民生活の安定」とし、インフレ率2%にこだわる日銀の姿勢に厳しい見方を示した。

 

司会 福本容子 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)


会見リポート

まだ間に合う、日銀の軌道修正

 今年7月、日銀の中枢から2人の“異端児”が去った。総裁以下9人で構成する最高意思決定機関、政策委員会。そこで2012年7月から審議委員を務め、黒田体制による異次元金融緩和に異論を唱え続けた2人の、任期満了に伴う退任である。

 

 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストはその1人だ。会見では、政策の副作用として最も懸念すべき問題に「国債バブル」を挙げた。

 

 日銀による国債の大量購入が長期化する中、投資家が市場で自由に売買できる国債の量は極端に細り、価格はかつてない水準まで上昇している。木内氏は今の購入ペースが続けば、来年5月にも限界に達するとの見方だ。

 

 限界に達した時、市場では国債価格の乱高下が起こり、日本経済が不安定になるばかりか、世界の金融をも揺さぶりかねないと警告した。

 

 それでは、軌道修正による危機回避はまだ可能か。

 

 木内氏は、無傷での政策正常化はもはや無理だとしても、国債の買い入れペースを落として、限界となる時期を遅らせることは可能と述べた。さらに、日銀が看板目標を降ろすことは容易でないが、物価目標「2%」をより柔軟に扱う政策への転換は、いずれありうると述べた。

 

 日銀の政治からの独立についても重い発言があった。

 

 中央銀行の独立性は単に法律の文言で守られるのではなく、最後は国民からの信頼が担保になる。木内氏はそう述べたうえで、2%達成時期の予想をたびたび修正したり、異次元緩和から脱却する際のリスクを「ありません」のひと言で片付けようとしたりすることが、日銀への信頼性低下を招いていると指摘した。

 

 信頼性が落ちたとき、「日銀だけに任せておいていいのかという意見が出かねない」。日銀がまさに恐れるべき事態ではないか。

 


企画委員 毎日新聞社論説委員  福本 容子

ゲスト / Guest

  • 木内登英 / Takahide Kiuchi

    日本 / Japan

    前日銀審議委員/野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト / Former Member of the Policy Board, Bank of Japan / Executive Economist, Nomura Research Institute, LTD

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