2017年08月08日 12:15 〜 13:30 10階ホール
「トランプ政権とフェイクニュース」 平和博・朝日新聞IT専門記者

会見メモ

司会 上田俊英 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

情報の空洞化に浸透した

宮崎 暁子 (日本テレビ報道局国際部)

「フェイク・ニュース」

朝日新聞IT専門記者の平和博氏の講義では、「トランプ政権とフェイク・ニュース」について話を聞いた。

フェイク・ニュースの台頭には、さまざまな要因があるが、地方紙の衰退が影響を及ぼした可能性があるとの指摘が興味深かった。アメリカでは、インターネットの登場によって広告収入などが減少し、地元紙がなくなった地域もある。

 

一方、大手の新聞は地域の実情より、中央の政治や経済を中心に「読まれる話題」を多く取り上げ、情報の空洞化が起きた。そうしたところに、「フェイク・ニュース」浸透の余地が生まれた可能性がある、という分析だ。

 

昨年の米大統領選挙で、有権者が最も参考にした情報源は、「テレビ」だという。

テレビは、つけているだけで情報を知ることができる便利なツールということだ。トランプ氏もまた、それをうまく利用した。

 

私は、東京のオフィスからリアルタイムで集会の様子を見ていたが、トランプ氏は過激な発言を並べ、抗議の声には「出て行け」と叫ぶ。それに呼応するかのように支持者のシュプレヒコールが沸くなど、観衆を巻き込んでいく様子がまるで、リアリティーショーを見ているかのように感じた。

 

こうした〝エンターテイナー〟として人気を得たトランプ氏のツイッターのフォロワー数は3500万人を超えた。

「フェイク・ニュース」は〝イエロージャーナリズム〟を意味する言葉として、1800年代にはすでに登場していたという。しかし、現代においてフェイク・ニュースもポスト・トゥルースも、トランプ氏なしではここまで広がらなかったのではないか。

 

地域の実情を正しく伝えているか、情報の送り手として、「視聴される話題」に固執してはいないか、改めて考えさせられる内容だった。

 

 


ゲスト / Guest

  • 平和博

    朝日新聞IT専門記者

研究テーマ:トランプ政権とフェイクニュース

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