2017年06月16日 17:00 〜 18:00 10階ホール
前原誠司 衆院議員 会見

会見メモ

民進党の新しい生活保障関連政策の中間報告。生活者の不安解消と社会保障充実が柱。「経済成長依存は破綻した。『みんながみんなのために』の理念で増税をお願いする」。国民は痛みを伴うが「この道しかない」。覚悟を問われ「政治生命をかける」ときっぱり。

策定にかかわった井手英策慶応大学教授も登壇し発言した。

 

司会 川戸惠子 日本記者クラブ企画委員(TBSテレビ)


会見リポート

ALL FOR ALL

永澤 陽生 (共同通信社生活報道部記者)

わが家のマイカーは10年落ちのガソリン車。燃費は悪いし、税金も高い。子どもはすでに独立し、夫婦2人に3列シートは手に余る。ハイブリッドやおしゃれな軽自動車にしたいけれど、お金がかかるし…。

 

例えが適切かどうかは分からないが、医療、年金、介護といったこの国の社会保障制度も同じような状態では、と連想した。少子高齢化が進み、時代にマッチしていないのは明らかだからだ。

 

民進党が次期衆院選を見据え、「尊厳ある生活保障」の中間報告をまとめた。いわく「経済成長頼みの財源確保が困難な中で、いかに分配資源を確保するのか」。今秋に具体策を盛り込んだ最終報告を出す予定で、蓮舫代表の名代として党内議論を主導する前原誠司元外相は、6月16日に日本記者クラブで開かれた記者会見で「この道しかない」と強調した。

 

自民党との対立軸は、アベノミクスの否定から始まる。次々に矢を放ったものの、企業の利益は内部留保に回され、物価や賃金は上がらない。貯蓄ゼロの世帯は約37%に上り、特に単身、高齢、一人親世帯の貧困や、格差が深刻になっている。

 

分断社会の研究で知られ、中間報告の基になった井手英策・慶応大教授の提言は明快だ。「かつてのような高い経済成長は取り戻せない」のだから、貯蓄などの自己責任で収入増は期待できない。ならばすべての人々の生活を互いに満たし合う「ALL FOR ALL」の路線にかじを切るべきではないか。

 

その精神や良し。だが財源は…。前原氏は消費増税を含む税制改革が基本だとし、税と給付のベストミックスを模索する考えを示した。

 

100年安心の年金制度、1億総活躍…といった、聞こえのいいフレーズばかりを並べる自民党政権に辟易としている身には、多少の負担をしてでも、本当に安心できる社会を子どもや孫の世代に残したいと強く思う。

 

民進党自身が「ALL…」でまとまるかは大いに疑問だが、少なくとも、ガソリンをまき散らしながら走る車がとっくに買い換え時期に来ていることは間違いないのだ。


ゲスト / Guest

  • 前原誠司 / Seiji Maehara

    日本 / Japan

    衆議院議員 / Member of the House of Representatives

  • 井手英策 / Eisaku Ide

    日本 / Japan

    慶應大学教授 / Professor, Keio University

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