会見リポート
2016年11月01日
11:00 〜 12:30
10階ホール
ブルース・ストークス 米ピュー・リサーチセンター国際経済世論調査部ディレクター.「変わるアメリカ 変わらないアメリカ 米大統領選」⑫
会見メモ
米大統領選は日本にとっても大ニュース。陰謀論から次回2020年選挙の見通しまで根掘り葉掘りの質問に「私もジャーナリストだったから、聞きたいことはわかる」と丁寧に答えた。トランプ現象の理由は「政治家を信頼できないから変化を求めるのかもしれない」。
ピュー・リサーチセンター / ピュー・リサーチセンター研究員ページ
司会 石川洋 日本記者クラブ企画担当部長
通訳 宇尾真理子(サイマル・インターナショナル)
会見リポート
世論調査で異様な大統領選を腑分け
会田 弘継 (共同通信社客員論説委員)
土壇場でやはり「オクトーバー・サプライズ」が起きた。民主党クリントン候補のメール問題で米連邦捜査局(FBI)が捜査再開を発表。事態が急展開する中での記者会見となった。ワシントンでの記者経験が長いストークス氏でも、選挙結果の予想を聞かれると言いよどんでしまう気持ちはよく分かる。意外というより、異様と言いたくなることが多い今年の大統領選である。ストークス氏がまとめてくれたピュー・リサーチセンターの各種世論調査からもそれがうかがえる。
たとえば、米国は世界のリーダーとして重要ではなくなっていると答える人が最近は半数近くいる。この40年あまりでもっとも高い比率だ。トランプ支持者の8割は50年前に比べ米国は生きにくい国になったと感じ、7割は将来もっと悪くなると感じている。クリントン支持者ではそれぞれ2割・3割だから、世界観がまったく違う。トランプ支持者らは絶望している人々だ。ストークス氏の説明では、絶望しているのは、特に教育レベルが低い年齢の高い白人だという。
世論調査の精度について論議が起きている中、その技術面について質問が出たのもうなずける。固定電話が減っているため携帯を対象に行われている現状について、ストークス氏はそれほど精度を左右していないと見ている。しかし、メディア革命がこの世界にも転機をもたらしている様相がうかがえた。
投票日までわずかとなったが、結果はどうあれ「トランプ現象」は当面続くという氏の見方には同感だ。単に一人の道化が現れたのではない。米社会が根源的な課題と変化にぶつかって、この異様な大統領選となったのは間違いない。
ゲスト / Guest
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ブルース・ストークス / Bruce Stokes
ピュー・リサーチセンター国際経済世論調査部ディレクター / director of global economic attitudes, Pew Research Center
研究テーマ:変わるアメリカ 変わらないアメリカ 米大統領選
研究会回数:12