2016年08月25日 18:30 〜 19:30 10階ホール
菊池由貴子 大槌新聞(岩手県)代表 「被災地における地方紙の役割」<2016年記者研修会>

会見メモ

岩手県大槌町で地域紙を発行する菊池由貴子氏が記者研修会で話し、記者の質問に答えた。
司会 小栗泉 日本記者クラブ企画委員(日本テレビ)


会見リポート

私たち記者の使命とは何か

砂川 孫優 (八重山毎日新聞社編集部)

「市町村単位の新聞が増えるとメディアの底辺が広がる」。私を含めた市町村のローカルエリアを舞台に活動する新聞記者にとっては、共感と使命感を持たせる一つの言葉となった。

 

東日本大震災から3年7カ月後、石垣市の訪問団が友好都市を結んでいる岩手県北上市を訪れた。私は同行取材を機に大槌町へ向かい、取材したことを振り返った。1771(明和8)年、石垣島の南東沖が震源とみられる大地震が発生。高さ約85㍍の大津波は石垣を含む周辺の島々をのみ込んだといわれている。無論、新聞がない当時に島民が情報を得る術はない。

 

あれから240年後の2011年。大槌町を襲った地震と大津波で、町はメディア空白域となった。菊池さんは「町の新聞がなくて悔しさがにじんだ。復興に向かう姿を町全体で共有したい」と町のメディアを立ち上げた。全国紙や県紙、地方紙で、紙面は違えど記者が担う役割は同じ。

 

菊池さんの「俯瞰して当事者意識を持つ」は、われわれ記者の重要な素質であり、「中身次第で新聞はなくならない。みんなが読みたい記事を出せばいい」と語る姿は、原点の言葉として私の五感を奮い立たせた。


ゲスト / Guest

  • 菊池由貴子 / Yukiko Kikuchi

    日本 / Japan

    大槌新聞(岩手県)代表

研究テーマ:被災地における地方紙の役割

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