会見リポート
2016年07月06日
14:00 〜 15:00
10階ホール
「チェンジ・メーカーズに聞く」⑧石川康晴 ストライプインターナショナル社長
会見メモ
「earth music&ecology」などのブランドを展開するストライプインターナショナル(旧クロスカンパニー)の石川康晴社長が自社の取り組みについて話し、記者の質問に答えた。
司会 安井孝之 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)
会見リポート
変わり続けて、社会も変える
安井 孝之 (企画委員 朝日新聞社編集委員)
岡山に4坪の小さなセレクトショップをオープンしたのが22年前、1994年だった。ファッション好きの少年が中学2年の時に思い描いた起業だった。「その後はずっと中二病」と笑う石川社長だが、今では店舗は国内外に約1300店、グループ売上高は1100億円を超えるアパレル会社に育った。起業からこれまでの道のりの大半が「失われた20年」と重なった。不況業種の代名詞でもあるアパレル産業で急成長をした秘訣は何か。何度もイノベーションを繰り返した「路線転換」が原動力だったようだ。
セレクトショップという小売店から製販一体型のアパレル企業へ、国内企業からグローバル企業へ、小型店舗から大型店舗へ、所有から共有(シェアリング)へ……。いくつかの路線転換を実行したことが、大手の老舗アパレル会社が苦境に陥っているなか事業を発展させてきた理由だと強調した。市場環境の変化に伴って、事業形態を変え続けたことが生き残りにつながった。
今ではグローバルで存在感のあるファッション商社になることが石川社長の夢のようだ。世界中に広まった低価格を売りにするファストファッションに対し、「フェアファッション」を目指し、トップになるという。児童労働も横行しているという貧困国での製品づくりではなく、環境にも優しく、労働環境も整備した「公正な製造現場をアジアでつくりたい」と石川社長。コストを維持しながら理想を実現するのは、困難な挑戦だが、会社が変わることで、貧困国の社会も変えていってほしい。
急成長をしていた過去の一時期、過労死が出たほどで「ブラック企業」ではないかという指摘もあった。急成長企業にありがちな社内体制の歪みが存在したことも認めた上で、「ブラックからホワイトへ」の転換も実現した、と言い切った。
ゲスト / Guest
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石川康晴 / Yasuharu Ishikawa
ストライプインターナショナル社長 / President, CEO, STRIPE Int’l
研究テーマ:チェンジ・メーカーズに聞く
研究会回数:8