2015年07月30日 15:00 〜 16:30 9階会見場
ノンフィクション作家 青木冨貴子氏 「戦後70年 語る・問う」㉘

会見メモ

新刊『GHQと戦った女 沢田美喜』や『731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く』『占領史追跡:ニューズウィーク東京支局長パケナム記者の諜報日記』などの著作がある青木氏が、沢田美喜さんの話を中心に占領期や戦後の日米関係について話し、記者の質問に答えた。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

青木冨貴子氏公式サイト


会見リポート

日本は歴史の検証をしているのか

杉田 弘毅 (企画委員 共同通信編集委員室長)

占領期に米兵と日本人女性の間に生まれた混血児を救うために、エリザベス・サンダース・ホームを開いた沢田美喜。三菱の創始者・岩崎弥太郎の孫娘であり、夫は大戦中に外務次官だった。

 

昭和の光と陰が凝縮した本『GHQと戦った女 沢田美喜』は、「戦前には巨万の富を持った財閥の令嬢が、混血孤児の救済という戦争の後始末にたった一人で果敢に立ち向かった」物語だ。占領期をテーマにした著者3冊目の本である。

 

占領軍は混血児を「米軍の恥」ととらえ、「恥の宣伝」であるホームの設立に強く反対したという。沢田はだから「GHQと戦った女」なのだ。吉田茂、ウィロビー、キャノンら戦後を動かした人物が次々と出てくる。そして下山事件。戦後史の裏面に切り込み興味深い。

 

日本は「歴史の検証をしっかりやらなかった」と言う。米国在住が長いが、その米国は「どんどん悪化し寛大さを失った」。日本への要求も強まるだろう、と予測した。

 

会見で著者は沢田の1953年のインタビューを読み上げた。「再軍備、絶対反対。戦争の後始末を仕事としてやっている身ですもの、戦争はもうまっぴら」


ゲスト / Guest

  • 青木冨貴子 / Fukiko Aoki Hamill

    日本 / Japan

    ノンフィクション作家 / Writer

研究テーマ:戦後70年 語る・問う

研究会回数:28

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