会見リポート
2013年02月08日
11:30 〜 12:30
10階ホール
山口那津男 公明党代表 記者会見
会見メモ
1月25日に習近平総書記と会談し帰国した、山口那津男・公明党代表が、今回の訪中の成果などについて話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)
公明党のウェブサイト
会見リポート
政権安定化のバランス役
川上 高志 (企画委員 共同通信論説副委員長)
アベノミクスでロケットスタートを切った安倍政権だが「真意」をいぶかる声が内外にくすぶる。手探りの対中外交、世論を二分しかねない憲法改正や歴史認識問題があるからだ。その中でバランスを取る重しとなっているのが公明党の存在である。
安倍政権の与党幹部としては初めての訪中を受けた記者会見。習近平総書記との会談実現までの働き掛けを紹介した上で「対話のきっかけができた。日中関係の安定・改善と新しい発展のために逆戻りさせないことが極めて重要だ」と語った。
直後に起きた中国海軍艦船による射撃管制用レーダー照射問題で「訪中は無駄足だった」と指摘する声がある。だが山口・習会談が行われていなければ、日本との関係改善の糸口を探る総書記周辺の雰囲気もつかめなかっただろう。その材料があったからこそ日本政府も冷静な対応を貫けたといえる。今さらながら重層的な対話の大切さを認識する。
安倍晋三首相が強い意欲を示す集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更に関しては「短兵急に進める考えではないと思う」と指摘。靖国神社参拝や従軍慰安婦問題に関する河野洋平官房長官談話の見直しについても「首相としての責任をきちんと把握して賢明な対応をされると思う」とけん制した。
問題は「バランス役」がいつまで有効なのかである。改憲に積極的な日本維新の会が衆院では公明党を上回る議席を占め、石原慎太郎共同代表は「公明党切り」を安倍首相に迫る。山口氏は「第1次連立の10年間の経験」を挙げ、自公関係の緊密さを強調した。選挙協力の実績が根底にはあるだろう。ただし安倍首相が「信念」に立ち返ればその関係が揺らぐ可能性は否定できない。政権の先行きの不透明さをあらためて考えさせられる機会でもあった。
ゲスト / Guest
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山口那津男 / Natsuo Yamaguchi
公明党代表 / Chief Representative, New Komeito