会見リポート
2012年12月26日
13:00 〜 14:30
10階ホール
研究会「衆院選後の日本-民意をどう読むか」③ 谷口将紀 東京大学教授
会見メモ
12月16日に行われた衆院選について考える研究会「衆議院選挙後の日本―民意をどう読むか」の3回目。朝日新聞と共同で行った調査結果について、東京大学の谷口将紀教授が、保守化した自民党の勝因や、投票率が最低になった理由、さらに2013年参議院選の予測などについて話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 星浩(朝日新聞)
谷口研究室のページ(東京大学HP)
会見リポート
保守、景気期待層の二正面で効果
宮崎 太介 (朝日新聞経営企画室(前政治部次長))
冒頭、「小選挙区制の下では二大政党は政策位置を中央に収斂させる」という米国の学者ダウンズの有名な「空間競争モデル」を紹介。一方、憲法改正や安保、財政出動などの主要政策で自民、民主党には開きがあったと指摘した。「理論に反し、自民は中央とは逆方向、保守サイドに振れた」ことが「憲法改正などを前面に打ち出して保守層の歩留まりを高めた」とし、勝因の一つに挙げた。
そのうえで、多数を占める中間派的な有権者の動向に触れ、英国の政治学者らの間でここ数年唱えられている「パフォーマンス・ポリティクス」の考えを下敷きに見解を示した。
端的に言うと、有権者は・従来の政府・与党の業績・政権交代した場合に期待できる成果を比較、考慮して投票する──というもの。景気回復のように各党が掲げるテーマについて、「どの党ならうまくやれそうか」といった「予想されるパフォーマンス」が投票を左右するという考え方だ。
最も重視した争点は、自民では財政・金融が突出、民主は雇用、教育・子育て、年金・医療などに分散した。谷口氏は「自民は財政・金融政策から、有権者の関心の高い景気問題にアプローチし、『経済社会政策で有効なパフォーマンスをできる』という期待を高めるのに成功した」と説明。保守層取り込みと合わせ、「二正面作戦が相対的に成功した」と分析した。
当選者の意識調査のデータは、東大・谷口研究室と朝日新聞社の共同調査による。衆院解散後に立候補予定者にアンケートを行い、当選者の回答分を集計した。
ゲスト / Guest
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谷口将紀 / Masaki Tanikuchi
東京大学教授 / Professor, Tokyo University
研究テーマ:衆院選後の日本-民意をどう読むか
研究会回数:0