会見リポート
2011年12月07日
15:00 〜 16:00
10階ホール
ラウラ・チンチージャ・ミランダ コスタリカ大統領 記者会見
会見メモ
司会 日本記者クラブ理事長 吉田慎一(朝日新聞)
通訳 丸山啓子(オルビスインターナショナル)
会見リポート
原発拒否 90%を自然エネルギーで
伊藤 千尋 (朝日新聞元中南米特派員)
日本と同じく平和憲法を持ち、日本と違って軍隊を廃止した、中米の小国ながら平和大国のコスタリカ。史上初めての女性大統領は冒頭、両国が民主主義や人権などで共通する価値観を持つことを強調した。
訪日の直前、米国を抜きにして発足した中南米カリブ海諸国共同体の設立に参加したばかりだ。これからはアジア太平洋地域が重要だとし、すでに関係のある中国だけでなく、日本との自由貿易など経済、通商面での関係強化を打ち出した。
発言で力を込めたのはエネルギー・環境問題だ。コスタリカは電力の90%がクリーンつまり自然エネルギーである。その地熱発電の技術をかつて輸出したのは日本だった。環境分野での日本の技術の高さを称賛し、地熱発電の推進で日本のさらなる技術導入に向け、新たな協定を結ぶことを明らかにした。
さらに会場からの質問に答えて原子力発電に言及し「まったく考えていない。過去に計画はなかったし、未来にもない」と、原発の拒否を明言した。その分、他の自然エネルギーに投資しているという。
環境で強調したのは先進国への不満だ。コスタリカは二酸化炭素の削減で先鞭をつけたのに、気候変動による災害をこうむっている。先進国が約束を守るべきだと主張した。
国内で抱える目下の問題は治安の維持だ。南米から米国にわたる麻薬の通過地点に当たり、国外のマフィアによる犯罪が急増している。彼女は内務公安大臣を経験し、もともと治安問題の専門家だ。
「中南米の3C」と呼ばれる美人国の女性リーダーだが、顔つきは「悪を許さない」と言いたげなほど精悍だ。一昨年の大統領選でも力強さを強調した。会見の間中、にこりと笑ったのはほんの一瞬だけだった。
ゲスト / Guest
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ラウラ・チンチージャ・ミランダ / Laura Chinchilla Miranda
大統領 / President