会見リポート
2009年06月18日
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蓮池透・作家「著者と語る『拉致 左右の垣根を超えた闘いへ』」
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会見詳録
会見リポート
拉致問題─制裁より対話重視で
山本 勇二 (東京新聞論説委員)
「北朝鮮がすべて悪いという感情論だけでは何も解決しない」「拉致被害者を全員帰国させよ、それができなけば制裁を加えよという姿勢は一種の思考停止ではないか」。2002年の日朝平壌宣言をもう一度読み直し、北朝鮮は日本に何を求めているのか、日本側に約束不履行はなかったかなど、冷静に検証して対話の道を探るべきだと提案した。最近の新聞、テレビは制裁の内容、強さばかりに焦点を当てていると不満も表明した。
北朝鮮の強硬姿勢が続き、日朝対話再開のめどは立たない。「核実験で冷水を浴びせられた思いだ」と蓮池さんは表情をくもらせ、当面はオバマ米政権の北朝鮮政策を見極めるべきだとの見解を示した。
拉致被害者の実弟薫さんが帰国したのは02年10月。家族との対面を終えて再び北朝鮮に戻ろうとした薫さんを「このまま日本にとどまるよう、命がけで説得した」。あのときは短期の一時帰国で日朝両政府が合意しており、「もう二度と放したくないという家族の思いだけが、弟を引き留めたのだ」という。
拉致問題への視点が変わったのは薫さんから直接、北朝鮮の実情、住民の考え方を聞いたのが大きかったようだ。
蓮池さんはメディアが薫さんの取材で「節度を保ってくれた」ことに謝意を示した。「弟もそろそろ取材に応じる時期かもしれない」とも。薫さんは北朝鮮の情報については口が重いそうだが、なぜ北朝鮮が核保有国になりたいのか、三代続けての権力継承で体制が揺らぐことはないのか、ぜひ語ってほしい。
ゲスト / Guest
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蓮池透 / Toru HASUIKE
作家 / Writer
研究テーマ:著者と語る『拉致 左右の垣根を超えた闘いへ』