会見リポート
2007年11月13日
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リチャード・ハース・アメリカ外交問題評議会会長
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会見リポート
分断された国家意思に憂慮
鈴木 美勝 (時事通信解説委員)
出席者の立場で言えば、やはり気になるのは今の日本外交をアメリカの識者がどのような目で見ているかという点だった。
ハース米外交問題評議会(CFR)会長は、アフガニスタンにおけるテロ対策の一環、インド洋上での海上自衛隊の給油活動が中断された一件を自ら取り上げた。
「きょうの国会論議を聞いても明らかだが、日本は今、世界でどのような役割を果たすべきなのかを、まとめて整理していく必要がある」
原理・原則が希薄な日本外交に対する厳しい批判と言えるだろう。
質問にはこう答えた。
「(日本の給油中断について)アメリカの反応は、失望ということになるでしょう。政治的意味合いで言えば、日本はアメリカが期待するグローバルな行動が出来なかったという(世界への)シグナルになる」
「ある国の影響力とか、ある国の重みというのは、その国に行動の意思と能力がどの程度あるかに比例して決まっていくものだ」
アメリカの世論を喚起・形成するワシントン、ニューヨークなどの識者たちの本音が、はっきりと見て取れる。
今は、給油中断をめぐる問題で国論が揺れ動く日本外交の正念場でもある。2年前の郵政解散─総選挙、続く今年夏の参院選が生んだ「ねじれ国会」。ハース氏の言葉の裏には、分断された国家意思の下で再び漂流し始めた同盟国、日本に対する憂慮の念がにじみ出ていた。
ゲスト / Guest
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リチャード・ハース / Richard N. Haass
米外交問題評議会会長 / CFR