会見リポート
2007年03月24日
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タリク・ハシミ・イラク副大統領
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会見リポート
再建への熱意と知恵
出川 展恒 (NHK解説委員)
まず、激化するイスラム教シーア派とスンニ派の宗派間抗争について、「武装勢力や民兵組織を背後で操る外国勢力の存在が問題だ」と指摘した。
そのうえで、「イラクを安定化するためには、軍事作戦だけではダメで、国民融和に向けた政治プロセスが不可欠だ」「特定の宗派でなく、国家全体に奉仕する強い軍と警察をつくること。経済を立て直し、若者らが民兵組織に取り込まれないようにすること。教育やマスコミを整備すること。こうした改革を同時並行で進めてゆくことが重要だ」と力説した。
さらに、「イラク駐留の多国籍軍への抵抗運動に参加する者と、国際テロ組織を峻別し、前者は、新しい国づくりに参加させる必要がある。すべての民族と宗派が対等な立場で国政に参加できるよう、選挙法を改正し、早期に選挙を実施することが必要だ」と訴えた。
また、「多国籍軍の撤退スケジュールを国民に示す必要があるが、イラクの治安機関の実力がつかないうちに撤退すれば、本格的な内戦を招く」と警告した。
そして、日本政府が、イラクの議員らを招いて、「国民融和セミナー」を実施したことを高く評価し、「こうした政治面での貢献を、今後も期待したい」と結んだ。
ハシミ副大統領はスンニ派で、昨年、肉親3人をテロで失っているが、イラク全体のことを考える理性と良識、そして、国家再建への熱意を感じさせた。
ゲスト / Guest
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タリク・ハシミ / Tariq Hashimi
副大統領 / Vice President