2025年01月20日 11:00 〜 12:00 10階ホール
ギラッド・コーヘン駐日イスラエル大使 会見

会見メモ

パレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡り、イスラエルとイスラム組織ハマスによる停戦合意が19日、発効した。

ギラッド・コーヘン駐日イスラエル大使が登壇し、2023年10月7日にハマスから受けた攻撃の惨状を振り返るとともに、今回の停戦の枠組み、ガザ地区の今後の統治や人道支援の在り方などについて話した。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

戦闘は勝利 安定は見えず

杉田 弘毅 (企画委員 共同通信社客員論説委員)

 1年と3か月強続いたガザ戦争の停戦成立のタイミングで記者会見を開催した。停戦が永続的となり、恒久的な和平が実現するよう期待があふれる中でのやり取りとなった。

 大使の主張は、2023年10月7日に起きたハマスによるテロ攻撃を忘れないでほしい、というものだ。ハマスのテロ攻撃を紹介する1分20秒の映像を会見中に放映し、10月6日の平和を取り戻すためには、ハマスを壊滅するガザ制圧の軍事作戦は必要だったという説明である。

 日本メディアに対して10月7日にハマスによる攻撃で無残にレイプされ、殺された犠牲者、人質になった人々の声も報道してほしいとの要望も伝えた。イスラエルの軍事作戦への非難が続いたメディア報道に対して、イスラエル政府は、「偏っている」「テロの残虐さに目を向けていない」と繰り返してきた。

 イスラエルの苦悩は、ガザの安定的な統治を誰が行うのか、という難題の答えがないことだ。会見でも「答えを持ち合わせていない」と簡潔だった。これが見えないと、再び混乱と衝突が起きる懸念が強い。

イスラエルはガザを支配する意図はないと言う。ハマスの統治は論外であり、パレスチナ自治政府に関してはこれまでイスラエル側との合意履行の責任を果たさずに信頼されていない。米国やアラブ諸国による共同統治案もまだ絵が見えてこない。

 ハマスとの戦闘でイスラエルは勝利した。レバノンの親イラン組織ヒズボラも弱体化し、シリアのアサド政権は崩壊するなど中東は「新しい現実」を迎えた。だが本当の勝利である「平和で安定し良好な中東の到来」はまだだ。日本にも協力してほしいと呼びかけた。

 2国家解決の可能性を聞いてみた。ハマスによるテロでむき出しになったのはイスラエルの生存を認めるのでなく破壊の願望であり、そうであればパレスチナ国家については考えられない、と明言した。


ゲスト / Guest

  • ギラッド・コーヘン / Gilad COHEN

    駐日イスラエル大使 / Ambassador of Israel to Japan

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