2025年01月31日 15:30 〜 17:00 10階ホール
「2025年経済見通し」(4) 武田洋子・三菱総合研究所執行役員兼研究理事シンクタンク部門長

会見メモ

シリーズ4回目のゲストとして、武田洋子・三菱総合研究所 執行役員兼研究理事シンクタンク部門長が登壇した。

日本経済の持続的な成長に向けて、人材・投資・生産性・財政と4つの主なキーワードを掲げ、それぞれ国民全体が意識し、議論を進めていくべきポイント等について述べた。

 

司会   菅野幹雄   日本記者クラブ企画委員  (日本経済新聞社)


会見リポート

「不都合な真実」が日本の伸びしろに

加藤 裕則 (朝日新聞出身)

 うすうすと分かっていたことだが、ふんだんなデータと、キーワードを使った論理展開に目が覚める会見だった。

 冒頭、世界で進行する地殻変動として、「国際情勢」「気候変動」「技術革新」の3つを挙げた。グローバルサウスの経済力と、中国のプレゼンスの高まりに驚いた。気候変動対策もトランプ米大統領の登場に象徴されるように揺れ動く。AI開発は米中が他国を寄せ付けない現状が示された。

 こんな世界情勢を踏まえ、日本経済はどうなるのか。

 1月24日に日本銀行は追加利上げを決めたが、多くの企業がこれをポジティブにとらえているデータを紹介した。日本の経営者は今、付加価値のある商品やサービスを提供しようと姿勢に転じ、「経済の好循環が起き始めている」。

 ただ、「不都合な真実」も指摘した。世界の競争力ランキングの説明で、意思決定の迅速さ、起業家精神などは67カ国中67位。女性管理職比率も65位と「不都合な真実」を列挙しながらも、「見方を変えると、これらは日本の伸びしろではないか」と逆転の発想を見せた。

 ミクロ、マクロ双方で冷静な視点を見せた。

 増加する自社株買いについて「資本政策は必要だが、必要な投資まで妨げられているとすれば、中長期的な企業の成長には逆の動きになる」と指摘した。国家財政でも、税収と歳出の推移を示したグラフは「ワニの口」の様な形になるが、この数年、歳出が急増し、「うわあごが外れたようだ」と表現した。

 今年の政治や経済の流れや着目点をつかむことができ、年初にふさわしい会見だった。


ゲスト / Guest

  • 武田洋子 / Yoko TAKEDA

    三菱総合研究所執行役員兼研究理事 / Executive Officer / Research Fellow

研究テーマ:2025年経済見通し

研究会回数:4

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