会見リポート
2021年12月22日
14:00 〜 15:00
10階ホール
小林鷹之・経済安全保障担当相 会見
会見メモ
経済安全保障、科学技術政策・宇宙政策を担当する小林鷹之大臣が今後の経済安保政策の方向性などについて話した。
司会 佐藤千矢子 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)
会見リポート
半導体、新たな市場が重要
三上 剛輝 (毎日新聞社経済部)
「米国や中国など他国の動きに右往左往しないようにするために、日本の基軸となる考えをしっかりと持ち、国力を高めなければいけない」。
岸田文雄内閣が看板政策の一つに掲げる「経済安全保障」の担当大臣として、強い危機感を率直に語った。
経済安保は、米中対立の長期化やコロナ禍でサプライチェーン(供給網)の脆弱性が露呈したことなどを背景に、半導体をはじめとする重要物資の安定供給や機微技術の海外流出防止を目指す概念だ。現状では米国や中国が先行し、丸腰に近い状態にある日本は急ピッチで制度整備を進める。
各国は輸出や投資、国際共同開発などの規制を強化しており、日本も同様の流れになる見込み。経済活動の制約につながるため、企業には「規制対象となりうる機微技術の定義を明確にしてほしい」と配慮を求める声がある。これに対しては「リクエストに応じる形で制度を設計する」とする一方、「海外との違いを認識した上でビジネスをしないと虎の子の技術やデータが守り切れない」と理解を求めた。「経済安保の規制の側面ばかりクローズアップするのはミスリードにつながる」と一部マスメディアの報道姿勢に苦言も呈した。
政府主導で国内生産基盤の確保に乗り出した半導体については、「少なくとも10年はかかるが、半導体産業の再生は可能だ。今なら間に合う」との見方を示した。
日本の半導体産業は1980年代後半には世界シェア5割を占めていたが、今は1割弱まで低下している。復活には製造拠点の整備と併せて、半導体を多く使う新たな市場づくりを進めることが重要だとした上で「この先10年間でどれほど国がコミット(関与)するかで民間企業の本気度が変わる」と力を込めた。
大臣就任以降、地元を離れ東京で暮らす。「家族と会えないのは寂しいが、日本のために頑張りたい」
ゲスト / Guest
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小林鷹之 / Takayuki Kobayashi
経済安全保障担当大臣 / Minister in charge of Economic Security