2013年07月08日 14:00 〜 15:00 10階ホール
シリーズ企画「中国とどうつきあうか」 青木麗子

会見メモ

福岡を拠点に長年にわたり日中交流に携わってきた青木氏が、現場で感じてきた対中観や胡錦涛元国家主席、李源潮副主席ら中国要人の素顔を語った。青木氏は中国には反日家はいないと断言する。中国トップは日中関係をこれ以上悪化させたくないと考えており、日本に様々な対話のサインを送ってくるので、日本側もそれを見逃さないでほしい、と語った。日本の政治家や企業人の中に中国語でコミュニケーションができる人が増えれば、両国間の摩擦や衝突が少なくなり、関係改善の一助になるだろうとも。

司会 日本記者クラブ前企画委員 泉宏(時事通信出身)


会見リポート

中国要人に「反日家」はいない

泉 宏 (前企画委員 時事通信出身)

「中国人よりうまい中国語」を駆使し、福岡を本拠に約30年にわたり中国語通訳業をベースに、日系企業による対中国ビジネスのサポートなどを手がけてきた青木麗子氏。中国人と本音で話せる数少ない中国専門家として、日中のあるべき姿を率直に語った。


父親の仕事の関係から中国の地方都市で生まれ育ち、文化大革命も体験した。帰国後は自然に身に付いた中国語をさらに磨き、福岡県職員を経て中国語通訳として独立、習近平国家主席ら多くの中国要人訪日の際のメーン通訳を担当する一方、日中ビジネスのコンサルタントなど幅広い活動を続けている。


通訳として接した中国要人たちの素顔については「誰もが日本との関係改善を望んでいる。『反日家』は実は1人もいない」と力説した。尖閣問題についても「中国の一般国民はほとんど関心がない」とし、「(外交上)これ以上こじれさせるのは日中双方にとって得策ではない」という共通認識を持って、当面は冷却期間を置くことが肝要と強調。日中首脳会談については「とりあえず第3国での会談を」と欧米での国際会議などで接触の道を探るのが早道と指摘した。


その上で今後の日中外交のカギは「人」だとし、政界、財界、地方都市などによる重層的交流が関係改善に結び付くとの考えを示し、安倍晋三首相ら政界要人には「成熟した民主主義国家として『情』ではなく『理』を基本とする日中関係を目指してほしい」と語った。


「日中の懸け橋になる」ことを人生の目標とし、福岡県上海事務所上級顧問など多くの役職を担っての訪中はすでに600回を超す。「中国の心が分かる日本人」として中国人の本音を聞き、交流の最前線で日中友好を切望する青木氏。控室では鑑真和上に渡日を決意させたという奈良朝・長屋王の招請文にちなみ「風月同天」と揮ごうした。


ゲスト / Guest

  • 青木麗子 / Reiko Aoki

    DLC・GBコンサルティング社長 / DLC Business Consulting co.,ltd

研究テーマ:シリーズ企画「中国とどうつきあうか」

研究会回数:0

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