2012年06月19日 12:00 〜 13:30 10階ホール
昼食会 山岸憲司 日弁連会長

会見メモ

5月に就任した、山岸憲司・日本弁護士連合会会長が、日弁連の2012年度会務執行方針について話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 杉尾秀哉(TBSテレビ)

使用した資料

http://www.jnpc.or.jp/files/2012/06/542922f8dd20192de70171b40e9838da.pdf

日弁連のホームページ

http://www.nichibenren.or.jp/



会見リポート

刑事司法の“病根”に取り組む決意

桐山 桂一 (東京新聞・中日新聞論説委員)


「刑事司法改革を突きつける時期だ」と山岸憲司日弁連会長は、昼食会で語った。裁判員制度スタートから3年がたち、一定の成果をおさめつつある。その一方で、旧態依然たる日本の刑事司法が抱える“病根”が残されている。その問題に積極的に取り組んでいくという意思表明である。


その“病根”を示すのは、たとえば東京電力の女性社員殺害事件である。6月7日に東京高裁が再審開始を決定したが、「私が事務総長だったときに、日弁連として再審の支援を決めた事件」(山岸会長)だった。再審開始決定の決め手になったのは、被害者から検出された体液のDNA型である。元被告のDNA型ではなく、第3者のものだった。


「なぜ、再審を請求した段階で、DNAが出てくるのか。検察側が持つ証拠の全面的な開示が必要な端的な事件です」


捜査当局は広範な捜査で膨大な証拠を集めるが、検察側は被告に有利な証拠などは秘匿したりする。


「集めた証拠は国民のものだという観点から、全証拠のリストをまず開示すべきです。東電女性殺害事件は一審無罪で、二審で有罪となったが、もしDNA型の証拠が出されていたら、二審でも無罪になったのではないでしょうか」


虚偽自白や冤罪防止のために、取り調べ過程の全面録画(可視化)も、早急に制度化すべきだと、山岸会長は述べた。長期間にわたり、勾留される「人質司法」の問題もある。


裁判員が死刑判断を迫られている。死刑について、「国民的議論が必要だ」という主張も受け入れられよう。少年事件でも、国選付添人制度は対象が重大事件に限定されている問題にも着手せねばならない。


検察自身も検察改革の道半ばだ。市民の司法参加を「てこ」にして、刑事司法が改善されることを期待する。



ゲスト / Guest

  • 山岸憲司 / Kenji Yamagishi

    日本 / Japan

    日本弁護士連合会(日弁連)会長 / Chairman of Japan Federation of Bar Associations

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