2010年11月04日 16:00 〜 17:00 宴会場(9階)
アウドロニウス・アジュバリス・リトアニア外相

会見メモ

リトアニアのアジュバリス外相が記者会見し、日本との関係やロシア、欧州、米国の外交について語った。


アジュバリス外相は2011年、日本との外交関係再樹立から20年たつことを指摘し、経済関係をもっと強化したい、と意欲を示した。特に、リトアニアのレーザー技術が日本に輸出されていることを強調した。リトアニアの領事館に駐在した杉原千畝がユダヤ人に日本通過ビザを発給した歴史にも触れた。20年前のロシアからの独立について「ドイツ再統一の時にはだれもリトアニアの独立をいわなかった。独立は奇跡だった」と振り返った。その後のロシアとの関係では、「過古からひきずる未解決の問題がある。両国の歴史学者同士で委員会を作り、共通の歴史について出版した」と説明した。また、NATOのミサイル防衛問題、通貨ユーロの導入、オバマ政権の欧州外交などの質問にも答えた。

通訳 池田薫


駐日リトアニア大使館のホームページ

http://jp.mfa.lt/index.php?-1845048674


日本外務省ホームページのリトアニア情報

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/lithuania/data.html


会見リポート

対ロシア“対話継続”が肝要

飯島 一孝 (毎日新聞出身)

リトアニアは旧ソ連から独立後、日本と外交関係を結び、来年は20周年を迎える。それを前に経済関係のより一層の強化を目指し、レーザー関係の企業など11社の幹部を同行して来日した。

ジャーナリスト出身で、ラジオ局や新聞社に勤務した経験を持つ。冒頭のスピーチで「私は歴史作家の吉川英治、映画監督の黒澤明、映画俳優の三船敏郎のファンでした」と明かし、日本の文化に敬意を抱いていることを強調した。

大臣として外国貿易も担当しており「わが国と日本との経済関係はまだ弱すぎる。もっと関係を拡大するよう提案したい」と熱っぽく語った。会見後、前原誠司外相と会談し、租税協定などの法的枠組みを作るようアピールした。

会見の日は、ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土を元首として初めて訪問した直後だったこともあり、真っ先に「ロシアとうまく付き合うにはどうしたらいいですか」という質問が出た。

「日本と同様、ロシアとの間には未解決の問題が残っているが、根本的な問題を解決せずに未来を築けないと、ロシアと専門委員会を設置した。難しい問題もあるが、対話を続けることが大事だ」

リトアニアは第一次大戦末期、ドイツ占領下で独立を宣言したが、独ソ不可侵条約により40年8月、ソ連に併合され、90年にようやく独立を勝ち取った。ソ連からの独立闘争では、タフな交渉の末、死傷者も出ているだけに、外相のアドバイスに説得力を感じた。

「独立を勝ち取ったときの気持ちは」との質問にも「話すと長くなる」といいつつ「独立できたのは奇跡的だった。当時の国際関係も味方し、時代が独立させた」とやや興奮気味に語っていた。


ゲスト / Guest

  • アウドロニウス・アジュバリス / Andronius AZUBALIS

    リトアニア / Republic of Lithuania

    外相 / Minister of Foreign Affairs

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