会見リポート
2004年10月15日
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A.O.コナレ・アフリカ連合委員長
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会見リポート
細やかさももつカリスマ
庭田学 (毎日新聞外信部)
発足2年のアフリカ連合(AU)。前身のアフリカ統一機構(OAU)がまったく機能しない組織とやゆされたことを意識してだろう、「AUはOAUとは違う」と強調した。「EUと同様、加盟53カ国の統合を目指している。統合されたアフリカこそ
が、アフリカの運命の歩むべき道を定めることができるのだ」と、大陸団結への意気込みを語った。
AU初代委員長としての正念場がスーダン西部のダルフール紛争である。会見の主要テーマであり、紛争の背景やAU部隊増派など今後の見通しが説明された。一貫していたのが、「アフリカの問題はアフリカが解決する」という姿勢だ。
「アフリカ以外からの軍隊派遣を私たちは望まない。ダルフールの問題はあまりにも複雑であり、アフリカ以外の地域から軍隊が派遣されれば、周辺諸国も不安定になる」と指摘。さらに、スーダン政府に配慮して、「スーダンの問題はスーダン人が解決すべきで、AUが代理をするわけではない」と、あくまで主権を尊重する考えを繰り返した。
ダルフール紛争を「すべてが非常にもろい状態」を分析し、「AUが成功しなければ泥沼化する」と危機意識を持つ。だが、「必要な措置を取る勇気を持たなかったアフリカは、過去のものだ」と、解決への決意は固い。「AUがアフリカの人民から全面的な信頼を得るためにも正しい判断が必要だ」と、AUの試金石であることも自覚している。繊細な問題を冷静に見つめる細やかさも備えたカリスマに期待してみたい。
ゲスト / Guest
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A.O.コナレ / Alpha Oumar KONARE
アフリカ連合委員長 / Chairman, AU