2023年09月07日 10:00 〜 11:00 10階ホール
ルスラン・ステファンチュク(Ruslan Stefanchuk)ウクライナ最高会議議長 会見

会見メモ

9月8日に東京で開催される主要7カ国(G7)の下院議長会議にゲストとして出席するため、来日したルスラン・ステファンチュク・ウクライナ最高会議(議会)議長が登壇。戦況や今後の復興に向け日本、国際社会に求めることなどについて話した。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)

通訳 ユリア・ザモルスカさん(駐日ウクライナ大使館)


会見リポート

継続支援 戦争なき世界を

喜田 尚 (朝日新聞社国際報道部)

 ロシアがウクライナへの全面侵攻に踏み切って561日目。ウクライナ最高会議のルスラン・ステファンチュク議長は冒頭、「戦争の唯一の目的はウクライナ国民を完全に無きものにすることだったが、ロシアの失敗はもう明らか。ロシアは、ウクライナ国民が守ろうとする基本的な価値に連帯する民主主義の国々の意思を見誤ったのだ」と語った。

 ステファンチュク議長は9月7日からの主要7カ国(G7)下院議長会議に招かれ、来日した。大柄な体に笑顔を絶やさない法学者。政治経験はなかったが、2018年、ひそかに大統領選への出馬準備を進めていたコメディー俳優のゼレンスキー現大統領に声をかけられ、陣営で「政治の刷新」「直接民主主義」など将来の政権のコンセプト作りを担った。翌年ゼレンスキー氏は圧勝、自身も議会選で政治の表舞台に立った。

 会見の前日も東部ドネツク州への攻撃で市民16人が死亡した。ステファンチュク議長は国際社会からの軍事支援の継続が重要だと訴えた。戦争長期化と欧米の支援疲れを問われると、「心配なのはむしろ前線のウクライナ兵士の疲れだ。彼らが疲れると、欧米の人々が自分の国で戦争を体験することになる。全面的な支援を訴えたい」と話した。

 国内問題への質問も多かった。レズニコウ国防相解任の背景にあったとされる汚職問題では、「汚職という恥ずかしいラベルをウクライナの名前からはずせるよう大統領、議会、政府、国民が一体となって取り組んでいる」とし、相次ぐ高官の処罰もその表れだとの考えを示した。

 間もなく始まる国連総会で「グローバルサウス」と呼ばれる新興国にウクライナで起きている現実を伝えることが重要だとし、「今の戦争が終わっても脅威は消えない。二度と戦争が起きない世界のメカニズム改革へ、ウクライナがイニシアチブをとっていきたい」とも話した。


ゲスト / Guest

  • ルスラン・ステファンチュク / Ruslan STEFANCHUK

    ウクライナ最高会議(議会)議長 / Chairperson, the Verkhovna Rada (Parliament) of Ukraine

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