2022年10月12日 14:30 〜 16:00 オンライン開催
「宗教と政治」島薗進・東京大学名誉教授

会見メモ

宗教学者の島薗進・東京大学名誉教授がリモートで会見。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が日本の政治との関係を深めた経緯を3段階に分け解説するとともに、米韓などの海外と日本の違い、世界的にみた近年の「宗教と政治」動向との関係などについても話した。

 

司会 橋本五郎 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)


会見リポート

「旧統一教会」解散すべきだ 

藤森 研 (朝日新聞出身)

 新宗教を専門とする島薗氏。いま問題になっている旧統一教会(世界平和統一家庭連合)は、「カルト」の中でも①人権侵害などの被害が大きい②にもかかわらず存続してきた、などの点で特異だとする。

 信徒を隔離し、攻撃的に社会に関わらせる点ではオウム真理教とも共通するが、オウムなどが短期間で解体する一方、統一教会は長く生き延びてきた。「推定だが、政治家の支援があったので、多くのトラブルを起こしても存続し、危ない行為も続けられたのでは」と言う。

 教団の政治への接近は、1960年代の勝共連合での岸信介らとの結びつきに始まり、福田赳夫、中曽根康弘らも裏から応援する役割を果たしてきた。霊感商法などの摘発に警察が消極的だった理由を、島薗氏は「有力政治家たちが統一教会に味方する中で、警察はどう動こうとするだろうか、と考える」。

 90年代後半から、裁判で違法認定が続き、教団は内部で信徒から収奪をする方針に転換する。2009年、教団系の「新世」社に警察の手が入ると、教団は、さらに庇護を得るためか政治家への働きかけを強めた。ちょうど自民党の方も下野し、選挙に勝つためには何でもやるような時期と合致していた。

 そして安倍元首相銃撃事件と、統一教会問題の露見。島薗氏は「60年代から政治家が守って来た統一教会の数々の人権侵害。それが今、ふたが開いた状況だ」と結んだ。

 質疑の中で、「法的解散命令が必要では」との問いに、島薗氏は「旧統一教会が宗教法人格を持っているのはおかしい。解散すべきだと思う」と言った。

 夫婦別姓反対など教団の主張が自民党の政策にどの程度反映しているのか、との質問には、「日本会議や神社本庁などの影響とともにだが、旧統一教会の影響もあると思う」という見方を示した。


ゲスト / Guest

  • 島薗進 / Susumu SHIMAZONO

    東京大学名誉教授 / professor emeritus, Tokyo University

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